瓦での屋根葺きは、日本の伝統的な建築スタイルを特徴付ける重要な要素の一つです。
その美しさと耐久性から多くの建物に採用されていますが、時折、雨漏りの問題が発生します。
この記事では、瓦での屋根葺き工事における雨漏りの原因と、それに対する効果的な対策について掘り下げて解説します。
瓦屋根で聞く「土葺き」とは

土葺き工法とは、瓦屋根の代表的な施工方法のひとつで、瓦を屋根に固定するために葺き土(床土)という粘土質の土を野地板の上に厚く敷き、その上に瓦を載せる構造です。この伝統工法は、日本の気候に適応した合理的な屋根構造で、断熱性・保温性・遮音性に優れており、日本各地の古民家や社寺仏閣などで数多く採用されてきました。
土の持つ保水性や熱の吸収性により、夏は涼しく冬は暖かく保つ性能があるため、住まいの快適性にも大きく貢献します。また、自然素材を使っているため、環境にも優しい工法と言えます。ただし、重量が高いため、屋根構造にかかる負荷が大きく、地震対策や勾配の確保には配慮が必要です。
土葺き工法の特徴の一つは、その安定性にあります。屋根全体に土を敷き詰めることで、建物の重心が下がり、風や地震などの外部要因に対する抵抗力が強化されます。特に、昭和初期までは土葺き工法が主流であり、その堅固さと耐久性から多くの建物で採用されていました。
また、土葺き工法は地域の気候や風土に適した工法としても知られています。土は環境にやさしく、自然素材であるため、建物と自然との調和を図る上で理想的な屋根材料とされています。さらに、土葺き工法は熱を遮断する性質があり、夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を保つ効果があります。
しかし、近年では近代的な建築技術の進歩や新素材の開発により、土葺き工法は徐々に減少しています。その理由の一つには、土葺き工法の施工には膨大な量の土を必要とし、そのための専門技術や資源が必要であることが挙げられます。また、屋根に土を載せることで建物の重量が増し、構造上の制約や地震時の影響が懸念される場合もあります。
土葺きの瓦屋根での雨漏り原因は?
【瓦の劣化と老朽化】
瓦は屋根を覆う最初のバリアとして、様々な自然の要素にさらされます。そのため、風雨や紫外線による劣化は避けられません。特に、長期間にわたる日光や雨水の影響は、瓦の表面にひび割れや欠けを生じさせます。この表面の損傷は、雨水の侵入経路を作り出し、瓦の防水性を低下させる結果をもたらします。
また、瓦が老朽化すると、密着性や防水性がさらに低下します。この老朽化は、瓦の表面だけでなく、内部構造にも影響を与えます。古い瓦は、その表面や形状が不均一になり、雨水の侵入を許容しやすくなります。さらに、古い瓦は水を保持しやすく、湿気やカビの発生を助長する可能性があります。
【下地の劣化と変形】
屋根下地は、瓦の基礎となる重要な要素ですが、この下地も時間とともに劣化や変形が起こります。木材や金属などの素材は、長期間にわたる水の浸透や熱変化によって腐食や変形を起こす可能性があります。特に、木材は湿気やカビの影響を受けやすく、金属は錆びや腐食が進行しやすい傾向があります。
劣化した下地は、瓦を固定する力を弱め、屋根全体の安定性を損ないます。また、下地の変形は屋根表面の平坦性を損ない、水の流れを阻害します。これにより、雨水が屋根表面に滞留し、漏水や浸水のリスクが高まります。さらに、下地の劣化は、屋根の構造的な問題を引き起こし、修復が難しくなる場合があります。
【施工ミスと工法の不備】
瓦を葺く際の施工ミスや工法の不備は、雨漏りの主要な原因の一つです。瓦の配置が不均一であったり、隙間やすき間が生じていると、雨水がそこから容易に侵入します。特に、瓦の固定が不十分であると、風や雨の影響で瓦が動き、防水性が低下します。
さらに、防水シートの施工や排水設備の不備も雨漏りを引き起こします。防水シートが不完全であると、雨水が屋根内部に浸透しやすくなります。また、排水設備が適切に設置されていない場合、雨水が屋根表面に滞留し、圧力をかけて屋根材を浸透させる可能性があります。これらの施工ミスや不備は、屋根の防水性を低下させ、雨漏りのリスクを高める要因となります。

土葺きの瓦屋根メリット・デメリット
土葺きの瓦屋根のメリット
再利用可能な瓦を使うことで、環境配慮にも貢献できます。
自然素材である土や瓦は、長期間にわたって変化せず、屋根全体の安定性を確保します。
特に、土葺き工法によって屋根に重量が増すことで、建物の耐久性が向上します。この重量が、風や地震などの外部の力に対する抵抗力を高め、建物をより安定させる効果があります。また、瓦屋根はその耐久性から、数十年にわたって屋根の交換を行う必要がない場合もあります。
自然素材の土や粘土瓦は調湿性・断熱性に優れ、住まいに快適さをもたらします。
施工によって強い風圧や雪に対する耐性を発揮し、伝統的な日本家屋に美しさと重厚感を加えます。
杉材の木造住宅との相性が良く、景観との調和性も抜群です。
又、土葺きの瓦屋根は、自然との調和が図れる点が魅力的です。自然素材である土や瓦は、周囲の自然環境に溶け込み、風景や季節の移り変わりと調和します。特に、木造の伝統的な建物と組み合わせることで、自然との一体感が増し、建物全体の美しさが引き立ちます。さらに、土葺きの瓦屋根は、その素朴な風合いが、都会の景観にも柔らかな趣を添えます。
機能面で言うと、土葺きの瓦屋根は、優れた断熱性と保温性を持っています。土の厚みや瓦の密度によって、屋根の断熱性が高まり、夏は室内を涼しく保ち、冬は暖かさを保つ効果が期待できます。この特性は、エネルギー効率の向上や快適な室内環境の維持に貢献します。さらに、断熱性と保温性の高さは、屋根の下の住環境を改善し、居住者の快適性を高める役割を果たします。
土葺きの瓦屋根は、土や瓦は天然素材であり、再生可能なリソースを使用しています。また、施工時に化学物質を使用しないため、環境への負荷が少なく、低炭素な建築材料として注目されています。土葺きの瓦屋根は、持続可能な建築の実現に向けた一歩として、環境保護活動に貢献しています。
土葺きの瓦屋根のデメリット
土葺きの瓦屋根のデメリットとして挙げられるのは、その重量と建物の耐震性に関する課題です。土や瓦は比較的に重い素材であり、屋根全体の重量が増加するため、建物の構造や基礎に負担がかかります。特に地震が頻繁に起こる地域では、建物の地震に対する耐性が懸念されます。このため、地震対策として、土葺きの瓦屋根の重量を考慮した適切な耐震補強が必要とされます。耐震補強工事は、追加の費用と時間がかかることがあり、土葺き屋根の施工コストを増加させる要因となります。
【施工コストと手間】
土葺きの瓦屋根は、施工に専門的な技術や手間が必要であるため、施工コストが高くなる場合があります。特に、瓦や土の加工や敷き詰めには熟練した職人が必要であり、その技術力に応じてコストが変動します。また、土葺き工法の特性上、施工には時間がかかります。土を敷き詰める作業や瓦を配置する作業は手間がかかり、工期が長引く場合もあります。さらに、土葺き屋根の施工には専門的な道具や機材が必要であり、それらの調達や使用にも費用がかかります。
【メンテナンスの難しさ】
土葺きの瓦屋根は、定期的なメンテナンスが必要です。床土の劣化や瓦の破損など、屋根全体の点検と修復が不可欠です。特に、床土の劣化は屋根の防水性や耐久性に大きな影響を与えるため、早期発見・対処が重要です。しかし、床土の修復や瓦の交換などのメンテナンス作業は手間と時間がかかるため、屋根の点検頻度や修繕計画を立てることが重要です。また、屋根へのアクセスも容易ではないため、専門的な技術や機材が必要となる場合もあります。
まとめ
瓦屋根は、日本の伝統的な建築様式を象徴する美しい屋根であり、その耐久性と耐火性から、多くの住宅で愛され続けています。しかし、瓦屋根は経年劣化や自然災害による影響を受けやすく、適切なメンテナンスを行わなければ、雨漏りなどの問題が発生する可能性があります。
雨漏りは、建物の美観を損なうだけでなく、構造材を腐食させたり、カビの発生を促したりするなど、建物の寿命を縮める原因となります。そのため、瓦屋根の施工やメンテナンスには、細心の注意が必要です。
まず、瓦屋根の施工時には、適切な下地材の選定と丁寧な施工が重要です。防水シートやルーフィングを正しく設置し、瓦をしっかりと固定することで、雨水の侵入を防ぐことができます。また、瓦の種類や形状、葺き方にも注意が必要です。専門の瓦葺き職人に依頼し、確かな技術と経験に基づいた施工を行うことが大切です。
次に、定期的な点検とメンテナンスも欠かせません。瓦の割れやズレ、漆喰の剥がれなどを早期に発見し、適切な補修を行うことで、雨漏りを未然に防ぐことができます。特に、台風や地震などの自然災害後は、必ず屋根の点検を行い、被害状況を確認しましょう。
また、雨漏りが発生してしまった場合は、早急な対応が必要です。応急処置として、ブルーシートなどで雨水の侵入を防ぎ、専門業者に修理を依頼しましょう。原因を特定し、適切な修理を行うことで、建物のさらなる劣化を防ぐことができます。
瓦屋根は、適切な施工と定期的なメンテナンスによって、その美しさと機能性を長く保つことができます。この記事で紹介した情報を参考に、あなたの大切な家を雨漏りから守り、末永く快適な暮らしを実現しましょう。
ご相談・お問い合わせ
瓦屋根の点検や見積もり依頼、雨漏りのご相談は、お気軽にご連絡ください。受付は電話・メールに対応しており、0120番号やtelフォームも完備。現場調査や提案資料の一覧なども掲載していますので、まずは「何に困っているのか」を私たちにご相談ください。ご希望の方には調整プランやおすすめ工事内容の概要をわかりやすくご案内いたします。
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