普段、屋根材の下にあり、見ることのない野地板ですが、屋根材や防水シートが劣化し破損することでこの野地板がダメージを受け雨漏りにつながってしまいます。
今回は、この野地板について解説していきます。
雨漏りは野地板にダメージを与える
屋根材や防水シートで隠れているため、野地板というものを目にする機会はないと思います。
屋根の表面には瓦やスレートなどの屋根材があり、その下には屋根の内側に雨水が染み込むのを防ぐ防水シートが敷かれ、その下に敷かれている木材が「野地板」です。
また、野地板は屋根の表面に近いため、屋根材や防水シートに不具合があると1番に雨漏りの被害が出る場所でもあります。
野地板の重要性と屋根構造
野地板は、屋根構造の核心的な部分を担当します。一般に、屋根は雨や雪、風、熱などから建物を保護する役割を果たす一方、野地板は屋根の表面部分である屋根材を支えるための平らな面を提供します。
屋根構造は基本的に大きく3つの部分から成り立っています。下から順に、大引き(大木)、野地板、そして屋根材です。大引きは屋根の骨組みを形成し、その上に野地板が設置され、さらにその上に屋根材が設置されます。
野地板はこの屋根構造の中で、とても重要な役割を果たしています。その一つ目の役割は、屋根材を支える平らな基盤を提供することです。これにより、屋根材が安定して配置され、風や雪の重みに耐えられます。二つ目の役割は、屋根が直接風や雨にさらされたときの損傷を防ぐ防水層を形成することです。
野地板が破損したり腐食したりすると、屋根材が適切に支えられずにずれたり、最悪の場合は雨漏りの原因となります。そのため、定期的なメンテナンスや適切な修繕が不可欠です。これにより、屋根全体の寿命を延ばすことが可能となります。
野地板から雨漏りしている場合には注意
瓦などの屋根材が破損したりずれたりすると、屋根のなかに雨水が侵入します。
屋根材の下には防水シートがありますので、それだけでは雨漏りにはなりませんが、そのまま防水シートが濡れた状態が続くとシートが劣化し、その下の野地板に水が染み込んでくるのです。
野地板に雨水が達している場合には、防水シートや屋根材には大きな破損や劣化が発生しているおそれがあり、雨漏りは放置しておくと家中のさまざまな場所へ広がって被害が大きくなるため、早急に屋根の補修をして雨漏りを食い止める必要があります。
野地板の腐食と雨漏りの関連性
野地板の腐食は、その機能を大幅に低下させ、雨漏りの一因となります。野地板は屋根材を支え、建物を水損から守る重要な部分であるため、その状態は常に最適なものであるべきです。
野地板が腐食すると、その表面がむらになり、屋根材が平らに配置されなくなる可能性があります。これにより屋根材がずれたり、水が野地板の下に侵入しやすくなったりします。また、腐食した野地板自体が水を吸収しやすくなり、さらにその状態が悪化する可能性もあります。これらの結果、雨漏りが発生する確率が高まります。
特に、古い建物や長期間メンテナンスが行われていない建物では、野地板の腐食が進んでいる可能性が高いです。定期的な点検とメンテナンスは、雨漏りを防ぐ上で必要不可欠です。
腐食した野地板をそのままにしておくと、時間とともにさらなる損傷を引き起こし、最終的には建物自体の損傷や修繕費用の増加につながります。そのため、野地板の状態を定期的にチェックし、必要であれば修繕または交換を行うことが推奨されます。これにより、雨漏りを防止し、屋根と建物全体の寿命を延ばすことが可能となります。
釘穴も野地板の雨漏り原因になる
野地板を留めるために釘が打たれていることがあり、その釘の打ち方に問題があったり、打ってはいけない場所に打たれている場合、雨漏りにつながることがあります。
ほんの些細な穴でも、釘を伝って雨水が内部へ侵入してくるのです。
また、金属屋根の場合、経年劣化により金属が腐食し穴が開くことがあります。
そうなるとしたの防水シートへ雨水が落ちていきますが、この防水シートも劣化しているとその下の野地板に伝って雨漏りへとつながってしまうのです。
野地板の耐用年数と種類
野地板にはいくつかの種類があり、種類によって耐久性に差があります。
バラ板と呼ばれる種類の野地板は、幅10cm程度の板で、杉の木が使われていることが多いです。耐用年数は40年程度と、ほかの素材に比べて長めになっています。
構造用合板と呼ばれる種類の野地板は、数枚の木の板を重ね合わせて強度を高めた板が構造用合板で耐用年数は30年程度といわれています。
コンクリートパネルと呼ばれる種類の野地板は、名前にコンクリートとついていますが、木でできた合板の一種で「コンパネ」と略されることもあります。
構造用合板に比べると強度は低いです。耐用年数は20年~30年程度といわれています。
耐火野地板
木片とセメントなどを混ぜ合わせて加工した合板で、火災に30分程度耐えることから国土交通大臣に認定されている野地板で、耐用年数は使われている素材によって異なりますが、30年程度のものが多いです。
野地板の修理方法【増し張り】【張り替え】
野地板の増し張りとは、既存の野地板に新しい野地板を重ね張りして強化する方法です。
既存の野地板の状態が良ければ増し張りでメンテナンスできるため、工事費用が安く抑えられます。
又、野地板の張り替えとは、既存の野地板を撤去して新しい野地板に張り替える方法です。
既存の野地板が腐敗している場合には、増し張りによる補強ではなく張り替えをします。
また、耐用年数を越えている野地板も張り替えを行っておくと安心です。
野地板の雨漏り補修方法と費用相場
野地板を補修する方法には、「増し張り」と「張り替え」があります。
増し張りは既存の野地板の上にさらに野地板を重ねて張る方法で、「重ね張り」ともいわれ、雨漏りなどでも野地板の傷みがそれほど大きくない場合には、増し張りで対応できることもあります。費用は1平方メートルあたり、1,000円~3,500円程度が相場です。
次に張り替えですが、耐用年数が過ぎてしまっているなど、野地板全体が劣化してしまっているときには、野地板全体を新しいものに取り替える工法です。
野地板を張る費用自体は増し張りと同じくらいですが、張り替えの場合はそこに古い野地板の処分費が加わり、1平方メートルあたり3,000円~6,500円程度が相場になります。
また、雨漏りが発生している場合には、野地板の上に敷く防水シートや屋根材も劣化していることが多いため、それらの補修費用もあわせると、数十万円以上の高額費用がかかってしまいます。
雨漏り修理には保険が使える場合もある
住宅購入の際に加入していることが多い「火災保険」には、自然災害などの被害に対する補償がついているものがあります。
もしも、台風などの災害で野地板などが破損し、雨漏りが発生した場合、それらを修理する費用に保険が適用されることもあります。ただ、雨漏りの修理に火災保険が適用されるケースは、台風などの自然災害が原因である場合に限られており、経年劣化や施工不良などが原因と考えられる場合には、保険の対象外になってしまうため注意が必要です。
また、家の破損や雨漏り以外のケースでも色々と保険が適応されますので、火災保険に加入している方は補償内容を確認してみるのがいいでしょう。
野地板の交換はいつ?
交換のタイミング
野地板の交換は通常、屋根の改修や再塗装と一緒に行われます。また、明らかな雨漏りや屋根の劣化が見られる場合にも交換が必要となります。一般的に、野地板の寿命はその素材や気候、そして定期的なメンテナンスによって変わりますが、多くの場合20年から30年程度とされています。
交換の理由
野地板の主な役割は、屋根材を支える下地を提供することです。しかし、時間の経過とともに、風雨や紫外線、温度変化などにより、野地板は劣化し、腐食する可能性があります。腐食した野地板は強度を失い、雨漏りの原因になる可能性があります。そのため、野地板が劣化や腐食の兆候を示している場合、または明らかな雨漏りが見られる場合、交換が必要となります。
交換の方法
野地板の交換は専門的な技術を必要とするため、プロの屋根工事業者に依頼することが一般的です。交換作業は、まず古い野地板を取り外し、新しい野地板を設置することから始まります。新しい野地板を設置する際は、正しい位置に設置し、安全に固定することが重要です。また、野地板を交換する際は、同時に防水シートの交換も検討すると良いでしょう。防水シートは、雨水が野地板に直接当たるのを防ぎ、野地板の寿命を延ばす役割を果たします。
野地板の交換は、家全体の安全性と快適さに直接影響を与えます。したがって、定期的なメンテナンスと、必要に応じた適切な交換が非常に重要です。
野地板の雨漏りを防ぐための対策
定期的な点検とメンテナンスの重要性
野地板の雨漏りを防ぐためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。野地板は常に雨風にさらされており、経年劣化によって腐食やひび割れが生じることがあります。
定期的な点検によって、これらの初期症状を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りのリスクを大幅に低減できます。
塗装やコーキングによる防水性の向上
野地板の防水性を高めるためには、塗装やコーキングが有効です。特に、野地板の継ぎ目や釘穴は雨水が浸入しやすい箇所なので、入念にコーキング処理を行うことが重要です。
また、定期的な塗装によって野地板を保護することで、劣化を防ぎ、防水性を維持できます。
屋根材の適切な選択と施工
野地板の雨漏りを防ぐには、屋根材の選択と施工も重要です。耐久性や防水性に優れた屋根材を選び、適切な施工を行うことで、雨漏りのリスクを低減できます。
特に、台風や豪雨が多い地域では、耐風性や耐水性に優れた屋根材を選ぶことが大切です。
プロの業者による点検とメンテナンスのメリット
屋根の点検やメンテナンスは、高所での作業となるため、DIYで行うのは危険が伴います。プロの業者に依頼することで、安全かつ確実に点検・メンテナンスを行えます。
また、プロの業者は専門的な知識と経験を持っているため、雨漏りの原因を正確に特定し、適切な対策を提案できます。
定期的な点検とメンテナンス、塗装やコーキングによる防水性の向上、屋根材の適切な選択と施工、そしてプロの業者による点検とメンテナンス。これらの対策を総合的に行うことで、野地板の雨漏りを効果的に防ぎ、住宅の寿命を延ばすことができます。
雨漏りと野地板 まとめ
野地板は屋根の下地であり、住宅にとって大切な部分です。
また、劣化症状が軽いうちにメンテナンスを行うことで、耐用年数を延ばすことができ工事費用も安く抑えられるので野地板は定期的なメンテナンスや補修を行いましょう。
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