外壁のひび割れとはもうおさらば!ノンクラック工法のすべて

家の顔とも言える外壁。しかし、そこに現れるひび割れは、美観を損なうだけでなく、建物の寿命を縮める深刻な問題です。

目次

外壁のひび割れ:原因と放置するリスク

外壁のひび割れは、建物の美観を損なうだけでなく、雨漏りや構造的な問題を引き起こす可能性があるため、早急に対処する必要があります。ひび割れの原因を理解し、放置することのリスクを認識することで、適切な対策を講じることができます。

ひび割れの原因

外壁のひび割れは、主に以下の3つの原因によって引き起こされます。

  1. 乾燥収縮

モルタルやALCパネルなどの外壁材は、時間の経過とともに乾燥し、収縮する性質があります。特に、日当たりの良い場所や風通しの良い場所では、乾燥が速く進み、ひび割れが発生しやすくなります。夏場の強い日差しや、冬場の乾燥した空気は、外壁材の水分を奪い、収縮を促進させます。また、外壁材の種類によっても収縮率は異なり、モルタルやALCパネルは、サイディングなどに比べて収縮率が高いため、ひび割れのリスクも高まります。

新築後数年で発生するひび割れは、この乾燥収縮が原因であることが多いです。施工時に十分な乾燥期間を設けなかった場合や、乾燥しやすい環境に建てられた場合に発生しやすくなります。

  1. 構造体の動き

地震や地盤沈下などによって、建物は常にわずかな動きを繰り返しています。この動きが、外壁に負担をかけ、ひび割れを引き起こすことがあります。特に、木造住宅は構造体の動きが大きいため、注意が必要です。地震の多い日本では、建物の耐震性が重要ですが、地震による揺れは、外壁に大きな負担をかけます。また、地盤沈下は、建物の傾きを引き起こし、外壁にひび割れを生じさせる原因となります。

築年数が経過した建物で発生するひび割れは、構造体の動きが原因である可能性が高いです。地震や地盤沈下だけでなく、経年劣化による建物の歪みも、ひび割れを引き起こす要因となります。

  1. 施工不良

施工時の不備も、ひび割れの原因となります。モルタルの塗り厚不足や下地処理の不十分さなど、施工不良がひび割れのリスクを高めます。例えば、モルタルの塗り厚が不足していると、外壁材の強度が低下し、ひび割れが発生しやすくなります。また、下地処理が不十分な場合、外壁材と下地の間に隙間ができ、そこから水分が浸入し、ひび割れを引き起こすことがあります。

施工不良によるひび割れは、新築後すぐに発生する場合もあれば、数年後に発生する場合もあります。施工業者の技術力や使用する材料の品質によって、ひび割れの発生リスクは大きく異なります。

ひび割れを放置することのリスク

「少しのひび割れだから大丈夫」と放置するのは危険です。ひび割れを放置すると、以下のような深刻な問題に発展する可能性があります。

  • 雨漏り

ひび割れから雨水が浸入し、雨漏りを引き起こします。雨漏りは、建物の構造材を腐食させ、シロアリを呼び寄せるなど、建物の寿命を著しく縮める原因となります。雨漏りは、天井や壁にシミを作ったり、カビを発生させたりするだけでなく、建物の構造材を腐食させ、強度を低下させる原因となります。また、雨漏りによって湿気が高まると、シロアリが発生しやすくなり、さらに建物の被害が拡大する可能性もあります。

  • 建物の耐久性低下

雨水は、外壁材だけでなく、建物の内部にも侵入します。鉄筋コンクリート造の建物では、鉄筋を腐食させ、建物の強度を低下させる恐れがあります。鉄筋は、コンクリートの強度を保つために重要な役割を果たしていますが、雨水によって腐食すると、コンクリートの強度が低下し、ひび割れや崩落などの危険性が高まります。また、木造住宅では、雨水によって木材が腐朽し、建物の耐久性が著しく低下する可能性があります。

  • 美観の損失と資産価値の低下

ひび割れは、建物の美観を損ない、資産価値を低下させます。特に、売却を検討している場合は、深刻な問題となるでしょう。ひび割れは、建物の外観を老朽化させ、清潔感を損ないます。また、ひび割れがある家は、適切なメンテナンスが行われていないという印象を与え、買い手からの評価を下げる可能性があります。

ノンクラック工法:ひび割れを防ぐ革新的な技術

外壁のひび割れを防ぐために開発されたのが、ノンクラック工法です。この工法は、従来の工法とは異なり、外壁材に伸縮性のある材料を使用することで、ひび割れの発生を抑制します。

ノンクラック工法のメリット

ノンクラック工法には、以下の3つの大きなメリットがあります。

  1. ひび割れのリスクを大幅に軽減

ノンクラック工法は、外壁材の伸縮性を高めることで、建物の動きによるひび割れを抑制します。これにより、雨漏りや建物の耐久性低下を防ぎ、安心して暮らせる家を実現します。従来の外壁塗装は、塗膜が硬いため、建物の動きに追従できず、ひび割れが発生しやすかったのですが、ノンクラック工法では、弾性塗料や弾性タイルを使用することで、塗膜が伸縮し、建物の動きに追従するため、ひび割れを抑制することができます。

弾性塗料は、ゴムのように伸縮する性質を持つ塗料で、建物の動きに合わせて伸縮するため、ひび割れが起こりにくくなります。また、弾性タイルは、柔軟性のある素材でできており、建物の動きに追従して変形するため、ひび割れを防ぐことができます。

  1. 美観の維持

ひび割れが発生しないため、新築時の美しい外観を長く保つことができます。定期的な塗り替えなどのメンテナンスコストも削減できます。ノンクラック工法は、外壁の美観を長期にわたって維持することができます。ひび割れや色褪せなどの劣化が起こりにくいため、定期的な塗り替えの頻度を減らすことができ、メンテナンスコストを削減することができます。

また、ノンクラック工法で使用する弾性塗料や弾性タイルは、様々な色やデザインがあります。そのため、建物の外観に合わせて自由に選ぶことができ、美観を向上させることができます。

  1. 資産価値の維持

ひび割れのない美しい家は、資産価値を高く維持することができます。将来的な売却を検討している場合にも、有利に働くでしょう。ひび割れは、建物の価値を大きく下げる要因の一つです。ノンクラック工法で外壁を保護することで、建物の資産価値を維持し、将来的な売却時にも有利な条件で取引することができます。

また、ノンクラック工法は、建物の耐久性を高める効果もあるため、長期的な目線で見れば、建物の価値を維持・向上させることにつながります。

ノンクラック工法の種類

ノンクラック工法には、主に3つの種類があります。

  1. 弾性塗料によるノンクラック工法

特殊な弾性塗料を外壁に塗布することで、ひび割れを防ぎます。弾性塗料は、ゴムのように伸縮するため、建物の動きに追従し、ひび割れを抑制します。弾性塗料には、アクリルゴム系、ウレタンゴム系、シリコンゴム系など、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。

アクリルゴム系弾性塗料は、価格が比較的安く、施工性も良いため、広く普及しています。ウレタンゴム系弾性塗料は、耐久性が高く、紫外線や雨風による劣化に強い特徴があります。シリコンゴム系弾性塗料は、さらに耐久性が高く、汚れにくい特徴があります。

  1. 弾性タイルによるノンクラック工法

伸縮性のある弾性タイルを外壁に貼り付けることで、ひび割れを防ぎます。弾性タイルは、デザイン性も高く、建物の外観を美しく彩ります。弾性タイルは、レンガ調、石積み調、タイル調など、様々なデザインがあり、建物の外観に合わせて選ぶことができます。

弾性タイルは、軽量で施工性も良いため、DIYでも比較的簡単に施工することができます。また、断熱性や遮音性にも優れているため、快適な住環境を実現することができます。

  1. 高耐久サイディングによるノンクラック工法

高耐久サイディングは、耐候性、耐衝撃性、耐水性に優れた外壁材で、ひび割れや色褪せなどの劣化が起こりにくい特徴があります。高耐久サイディングは、窯業系、金属系、樹脂系など、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。

窯業系サイディングは、セメント質と繊維質を主な原料とする外壁材で、デザイン性が高く、防火性にも優れています。金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属を主な材料とする外壁材で、軽量で耐久性が高く、メンテナンスが容易です。樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂などの樹脂を主な材料とする外壁材で、価格が安く、デザインも豊富です。

ノンクラック工法の施工と費用

ノンクラック工法の施工は、専門的な知識と技術が必要です。信頼できる施工業者を選び、適切な施工を行うことが重要です。

施工の流れ

  1. 現地調査

建物の状態や外壁材の種類などを確認し、最適なノンクラック工法を提案します。この際、建物の劣化状況や周辺環境などを考慮し、最適な工法や材料を選定します。例えば、日当たりの良い場所や雨風の影響を受けやすい場所では、耐候性や耐久性の高い材料を選ぶ必要があります。また、建物のデザインに合わせて、色や柄を選ぶことも可能です。

  1. 足場設置

安全に作業を行うために、足場を設置します。足場は、作業員の安全を確保するだけでなく、高所からの落下物による事故を防ぐためにも重要です。足場の種類や設置方法も、建物の形状や周辺環境によって異なります。

  1. 高圧洗浄

外壁の汚れやコケなどを高圧洗浄で除去します。高圧洗浄は、外壁材の表面をきれいにし、塗料やタイルの密着性を高めるために重要な工程です。高圧洗浄によって、外壁材に付着した汚れや古い塗膜などを除去することで、新しい塗料やタイルがしっかりと密着し、耐久性が向上します。

  1. 下地処理

ひび割れや欠損部分を補修し、下地を調整します。下地処理は、ノンクラック工法の効果を最大限に引き出すために重要な工程です。ひび割れや欠損部分を適切に補修することで、外壁材の強度を高め、ひび割れの発生を抑制することができます。また、下地調整剤を使用することで、外壁材と塗料やタイルの密着性をさらに高めることができます。

  1. ノンクラック材の施工

弾性塗料や弾性タイルなどを施工します。施工は、専門の知識と技術を持った職人が行います。塗料やタイルの厚さや塗り方、貼り方など、細心の注意を払って施工を行います。弾性塗料の場合は、下塗り、中塗り、上塗りと複数回に分けて塗布し、塗膜の厚さを確保します。弾性タイルの場合は、下地材を塗布した後、タイルを一枚ずつ丁寧に貼り付けていきます。

  1. 仕上げ

塗装やシーリングなどを行い、仕上げます。仕上げは、外壁の美観を左右するだけでなく、防水性や耐久性を高めるためにも重要な工程です。仕上げ材の種類や施工方法も、使用する材料や建物の状態によって異なります。

  1. 足場解体

足場を解体し、清掃を行います。足場解体後、周辺の清掃を行い、工事完了となります。

  1. 完了検査

施工完了後、検査を行い、問題がなければ引き渡しとなります。完了検査では、施工箇所の仕上がりや不具合などを確認し、問題があれば修正を行います。検査は、施工業者だけでなく、施主も立ち会い、しっかりと確認することが大切です。

費用相場

ノンクラック工法の費用は、建物の大きさや外壁材の種類、施工業者によって異なります。30坪程度の住宅で、150万円~250万円程度が一般的な相場ですが、使用する材料や施工範囲、建物の状態によって費用は大きく変動します。

例えば、弾性塗料によるノンクラック工法の場合、使用する塗料の種類やグレードによって費用が変わります。アクリルゴム系弾性塗料は比較的安価ですが、耐久性が低い傾向があります。一方、ウレタンゴム系やシリコンゴム系弾性塗料は、高価ですが、耐久性が高く、長期的なコストパフォーマンスに優れています。

弾性タイルによるノンクラック工法の場合、タイルの種類やデザインによって費用が異なります。シンプルなデザインのタイルは比較的安価ですが、高級感のあるタイルや特殊な形状のタイルは高価になります。

高耐久サイディングによるノンクラック工法の場合、サイディングの種類やグレードによって費用が異なります。窯業系サイディングは比較的安価ですが、金属系や樹脂系サイディングは高価になります。

さらに、建物の状態によっては、下地処理に費用がかかる場合もあります。ひび割れや欠損が大きい場合は、補修費用が高くなることがあります。

ノンクラック工法の注意点

ノンクラック工法は、ひび割れのリスクを大幅に軽減できる優れた工法ですが、いくつかの注意点もあります。

  1. 施工業者の選定

ノンクラック工法は、専門的な知識と技術が必要なため、信頼できる施工業者を選ぶことが重要です。実績や資格、保証内容などを確認し、複数の業者から見積もりを取って比較検討しましょう。また、施工事例やお客様の声などを参考に、安心して任せられる業者を選びましょう。

安価なだけの業者を選んでしまうと、施工不良を引き起こし、かえってひび割れのリスクを高めてしまう可能性があります。信頼できる業者を選ぶことで、安心して施工を任せることができます。

  1. 定期的なメンテナンス

ノンクラック工法は、ひび割れの発生を抑えることができますが、完全にひび割れを防ぐことはできません。定期的なメンテナンスを行い、ひび割れや劣化がないか確認しましょう。特に、弾性塗料によるノンクラック工法の場合、塗膜の劣化によってひび割れが発生する可能性があるため、定期的な点検と塗り替えが必要です。

定期的なメンテナンスを行うことで、早期にひび割れを発見し、補修することができます。また、塗膜の劣化を防ぎ、建物の美観を維持するためにも、定期的なメンテナンスは重要です。

  1. 保証内容の確認

ノンクラック工法には、施工業者や材料メーカーが提供する保証があります。保証内容や期間をしっかりと確認し、万が一の場合に備えましょう。保証内容によっては、ひび割れが発生した場合に無償で補修してもらえる場合があります。

保証内容や期間は、施工業者や材料メーカーによって異なります。保証期間が長いほど安心ですが、その分費用も高くなる傾向があります。

まとめ:ノンクラック工法で、未来の安心を手に入れよう

外壁のひび割れは、建物の寿命を縮めるだけでなく、美観を損ない、資産価値を低下させる原因となります。ノンクラック工法は、これらの問題を解決し、安心して暮らせる家を実現するための有効な手段です。

この記事で紹介したように、ノンクラック工法には様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。あなたの家に最適な工法を選ぶためには、専門業者に相談し、建物の状態や予算に合わせて適切なアドバイスを受けることが大切です。

ノンクラック工法は、初期費用はかかるものの、長期的な目線で見れば、メンテナンスコストの削減や資産価値の維持につながるため、賢い選択と言えるでしょう。

この記事が、あなたの家を守るノンクラック工法選びの参考になれば幸いです。

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