雨漏りのある家を売却しようと考えたとき、「そのまま売ってもいいのか?」「修繕してから売るべきか?」「不動産会社に相談するべきか?」と、さまざまな不安や疑問を抱える方が多くいます。
この記事では、雨漏りのある住宅の売却を成功させるための方法や修理・修繕のポイント、告知義務や契約時の注意点について、専門的な視点からわかりやすく解説します。
雨漏りのある家は売却できるのか?

結論から言えば、雨漏りがある家でも売却は可能です。ただし、売却価格が相場より安くなってしまったり、トラブルが発生したりする可能性もあるため、正しい知識と戦略が重要となります。
雨漏りの修理履歴や、現状の被害状況についての資料を準備しておくと買い手の信頼を得やすくなります。また、不動産仲介業者と連携し、適切な説明を行うことで、買い手の不安を軽減できます。たとえば、修理内容や使用した資材の情報、修理にかかった費用などを具体的に伝えることで、買い手が安心して購入を決断できるようになります。
現在の不動産市場では、老朽化が進んだ住宅や中古住宅の取引も活発です。そのため、雨漏りが発生している住宅でも、状態や対策次第でスムーズに売却できるケースも少なくありません。
雨漏りの有無を確認する方法
家を売る際には、まず雨漏りがあるかどうかを確認しましょう。雨漏りは屋根や外壁、窓周りなどに問題がある場合に発生することが多いです。以下のポイントをチェックしてみてください。
- 天井のシミや変色:雨漏りの典型的なサインです。特に天井の隅や電灯周りは注意して見ましょう。染みが広がっている場合、進行中の雨漏りの可能性が高いです。
- 壁紙の剥がれや膨らみ:湿気が原因で発生します。触ってみて柔らかい箇所がある場合、内部に水が侵入しているかもしれません。
- 床の変形や腐食:水が染み込んだ結果、床材が傷むことがあります。特に木製のフローリングでは歪みやきしみが現れやすいです。
- 押入れやクローゼット内の湿気:雨漏りが発生している場合、収納スペースにまで影響が及ぶこともあります。閉め切った状態で湿気が感じられる場合は注意が必要です。
これらの兆候がある場合は、専門家による調査を依頼することをおすすめします。雨漏り調査を行う業者やリフォーム会社に相談し、具体的な原因と被害状況を把握しましょう。目視だけではわからないケースもあるため、赤外線カメラや水圧検査を用いた専門的な調査が有効です。

雨漏りを放置したまま売るとどうなる?
雨漏りをそのままにして家を売却した場合、売主には告知義務と契約不適合責任が課されることになります。
告知義務とは?
雨漏りのような物理的瑕疵(かし)がある物件を売却する場合、売主はその事実を買主に伝える義務があります。これは宅地建物取引業法に定められており、隠して売却した場合は損害賠償を請求される可能性があります。
契約不適合責任とは?
引き渡し後に「雨漏りがあったことを知らなかった」と買主から申告された場合、修繕費用の負担や契約解除・損害賠償請求を受ける可能性があります。中古住宅の取引においては、この点をめぐるトラブルが非常に多いため、事前の準備と告知は極めて重要です。
雨漏りを修繕してから売るべき?それとも現状のまま売る?
雨漏りのある家を売却する際、修繕するか、そのまま売るかの判断は悩ましいポイントです。
以下にそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
修繕してから売るメリット
- 物件の印象が良くなり売れやすくなる
- 売却価格が高くなりやすい
- 買主に安心感を与えられる
- 契約トラブルのリスクを軽減できる
費用はかかりますが、インスペクション(建物状況調査)を併用することで、信頼性の高い物件として評価されやすくなります。
修繕せず現状のまま売るメリット
- 修繕費用がかからない
- 早く売却できる可能性がある
- 「買取業者」や「リフォーム前提の買い手」に需要がある
ただしこの場合、雨漏りの発生箇所や状況、対策の有無などを正確に伝える必要があり、プロの不動産業者や専門家のサポートが欠かせません。
雨漏りの修繕にかかる費用と方法
雨漏りの修理費用は、被害の規模や修繕方法によって大きく異なります。
主な費用と方法の一例を以下に紹介します。
修繕内容 | 方法 | おおよその費用 |
---|---|---|
屋根の補修 | 板金交換・コーキングなど | 状況により変動 |
外壁の補修 | クラック補修・塗装 | 状況により変動 |
室内の修復 | クロス貼替・天井ボード交換など | 状況により変動 |
インスペクション | 専門業者による建物診断 | 状況により変動 |
※費用は住宅の状態や地域によって変動するため、複数の業者に見積もりを依頼するのがポイントです。

雨漏りを修理する際のポイント
雨漏りを修理する際には、以下のポイントを押さえておくとスムーズです。
- 信頼できる業者を選ぶ 雨漏り修理は専門的な知識と技術が必要です。口コミや評判を確認し、実績のある業者に依頼しましょう。不動産売却を見据えている場合は、リフォーム業者に相談することもおすすめです。
- 修理範囲を明確にする 雨漏りの原因や被害範囲によって修理内容は異なります。事前に業者としっかり打ち合わせを行い、必要な修理範囲を確認してください。たとえば、部分的な修理で済むのか、全体的な改修が必要なのかを明確にすることで、無駄な費用を抑えられます。
- 見積もりを複数取得する 複数の業者から見積もりを取ることで、適正な費用感を把握できます。価格だけでなく、修理方法や保証内容も比較検討しましょう。業者によっては、修理後のアフターサポートが充実している場合もあります。
- 修理後の保証を確認する 修理後に再び雨漏りが発生する可能性もゼロではありません。保証期間や対応内容を事前に確認しておくことが大切です。特に、売却後に問題が再発した場合に備えて、保証が付いている業者を選ぶことをおすすめします。

売却前にやっておきたい対策と手続き
1. 状態の正確な把握
雨漏りの箇所、原因、発生時期、修繕歴などを明確に記録しておくことが大切です。
修繕済みの場合でも、修理業者の報告書や写真などを残しておくと、買主との信頼関係構築に役立ちます。
2. 専門業者への相談
不動産会社、リフォーム会社、インスペクション対応業者など、複数の専門会社へ相談することで、最も効率的な売却戦略が立てられます。
3. 不動産会社の選び方
信頼できる不動産会社は、瑕疵物件や雨漏り物件の売却実績が豊富で、適切なアドバイスがもらえます。
また、契約内容や告知義務に関するサポートがしっかりしている会社を選ぶことが、後々のトラブルを防ぐ鍵です。
雨漏りがあっても高く売るためのポイント
- 物件の価値を冷静に把握する
土地や立地の良さは売却価格に直結します。建物の瑕疵があっても、周辺環境の魅力があれば高額で売れる可能性もあります。 - リフォームやリノベーション後の活用提案を加える
「雨漏り部分は補修が必要ですが、このような使い方が可能です」とポジティブな提案をセットにすることで、買主の印象を良くできます。 - 買取サービスを利用するのも一手
雨漏りなどの問題を抱えた家をスムーズに現金化したい場合は、不動産買取業者への売却も選択肢です。スピード重視で売れる反面、相場より価格が低くなることもあるため注意が必要です。
告知義務とトラブル回避のための注意点
雨漏りの事実を「知らなかった」としても、売主が知り得た情報は買主に伝える義務があります。
伝えなかった場合、契約後に損害賠償や修理費の請求など、重大なトラブルに発展する可能性があります。
契約書に「瑕疵の有無」「補修の有無」「雨漏りの履歴」を正しく記載し、宅建士の説明とともに、契約内容を明確にしておくことが重要です。
まとめ:雨漏りがあっても家は売れる!正しい知識と準備が成功のカギ
雨漏りのある家を売却する際には、不動産会社・修理業者・インスペクション業者などとの連携、告知義務の履行、そして適切なタイミングでの相談が何よりも大切です。
修繕するべきか、そのまま売るかは、物件の状態と市場の状況によって判断する必要があります。
いずれの場合でも、買主とのトラブルを未然に防ぎ、安心して取引を完了させるには、信頼できる不動産会社に相談し、プロのアドバイスを受けることが一番の近道です。
大切な住宅を高く・スムーズに売るためにも、雨漏りというリスクを正しく理解し、最善の方法で売却を進めましょう。