雨漏りとは違う水漏れとは何なのか?配管から雨漏りが起こる理由は何なのか?また、水漏れが起こった際の対処方法についてこの記事では解説します。
雨漏りと漏水の違い
雨漏りと漏水・水漏れを一緒に感じる方もいるかと思いますが、まったくの別物です。
発生する原因が異なるため、修理方法や修理業者も大きく変わってきます。
まずは、雨漏りと水漏れの違いについて解説します。
「雨漏り」とは、雨水が建物の外部から内部・室内へ浸入する不具合のことを言い、「水漏れ」とは、内部外部にかかわらず配管・排水設備などの劣化や人為的ミスにより起こる水トラブルのことを言います。
雨漏りと水漏れでは、対応する業者が異なります。
雨漏りの場合は、雨漏り専門業者や建築板金屋さんが中心に行い、水漏れに関しては、設備屋さんが行うのが一般です。
配管の雨漏りの特徴
配管からの雨漏りは一見難しいかもしれませんが、いくつかの特徴を理解することで早期に発見し、対処することが可能です。
- 一定のタイミングで発生: 配管からの雨漏りは、使用時(水道を開けた時やトイレを流した時など)に発生することが多いです。これは、配管に水が流れることで圧力がかかり、漏水部分から水が漏れ出るためです。
- 位置的な制限: 通常、雨漏りは屋根からのものが多いですが、配管からの漏水は建物の特定の位置、特に水回りの設備(浴室、キッチン、トイレなど)付近で見られることが多いです。
- 水の色や臭い: 配管から漏れ出る水は、通常、水道水または排水であるため、透明または灰色で、特定の臭いを放つことがあります。
- 一定の流れ: 配管からの雨漏りは、しばしば一定の流れや滴り方を示します。これは、水が定期的に配管を通過するためです。
これらの特徴を知ることで、配管の雨漏りを早期に発見し、さらなる損傷を防ぐことが可能です。漏水が見つかった場合は、速やかに専門の業者に相談することをお勧めします。
水漏れの原因と原因箇所について
水漏れは、雨漏りとは違って、水道の配管や蛇口、排水がある箇所から起こります。
今回は、キッチン、お風呂場、洗面所にスポットを当てて解説します。
キッチンが水漏れする原因
キッチンで起こる水漏れにはいくつかの原因が考えられます。
まず給水側で起こりやすい問題としては、給水管や蛇口の劣化、ナットのゆるみ、パッキンの劣化、キッチン台と蛇口接合部のシールの劣化などがあります。
大量に水が漏れている状況であれば原因箇所の特定は難しくありませんが、したたる程度では見つけにくいこともあるでしょう。
濡れている箇所をいったん拭いてから、もう一度観察することで、水漏れの原因箇所を発見しやすくなります。
排水側での水漏れが起こっている場合は、排水管のつまり、排水ホースの不具合、排水トラップのパッキン劣化、排水管と排水ホースを接合するナットのゆるみ、シンクの素材の劣化などが考えられます。
シンク下の排水ホースは樹脂製のものが多く、金属製のものと比べて耐用年数が短いぶん破損しやすい箇所と言えます。
キッチンは日常的に使用する場所なので、給水側の水漏れは他の場所より気がつきやすいでしょう。
一方、排水側はシンクの下に隠れているためトラブルが発生していても発見しにくいものです。日ごろから嫌な臭いがしたら排水側を確認するなど、事態が悪化する前に点検を行いましょう。
風呂から水漏れする原因
風呂場で水漏れが起こっている場合の原因には、給水管やホースの劣化、パッキンの劣化、接合部のナットのゆるみ、蛇口やシャワーヘッドの劣化などが考えられます。
浴室の場合は、使用する際に室内全体が濡れることが多いので、わずかな漏れを使用中に確認するのは難しいかもしれません。点検する際は浴室を十分に乾かしてから、濡れている箇所をふき取って水漏れがないか確認しましょう。
蛇口を閉めているのにポタポタと水が出続ける場合は、ケレップと呼ばれる蛇口内部にあるパッキンの劣化や、バルブカートリッジの破損、接合部のナットのゆるみ、パッキンの周辺に異物や水垢がたまっていることなどが考えられます。
洗面台から水漏れする原因
洗面所や洗面台で水漏れが起こりやすい場所は、蛇口本体や給水管・排水管の接続部が代表的です。
原因としては、パッキンの劣化、蛇口や配管自体の劣化、接続部のナットのゆるみなどが考えられます。
また排水側は樹脂製のホースが多く、破損している場合にはホース全体の交換が必要となることも珍しくありません。
水漏れ箇所を特定する場合、上記のトラブルが発生しやすい箇所に着目して点検してください。
水漏れが起こる主な原因
- 経年劣化:配管やパッキンなどの部品は、時間の経過とともに材質が劣化し、柔軟性を失って硬化したり、ひび割れや破損が起こりやすくなります。特に築年数が古い住宅では、経年劣化による水漏れのリスクが高まります。
- 地震や地盤沈下による配管のズレ:地震や地盤沈下は、配管に大きな負荷をかけます。配管がズレたり、接続部分が緩んだりすることで、水漏れが発生する可能性があります。地震の多い日本では、特に注意が必要です。
- 誤ったDIYや工事:配管の接続が不十分であったり、適切な部品や工具を使用しなかったりすると、水漏れが発生することがあります。DIYでの修理や、資格を持たない業者による工事は、水漏れの原因となる可能性があります。
- 凍結:気温が氷点下になると、配管内の水が凍結し、体積が増加します。この膨張する力が、配管を圧迫し、ひび割れや破裂を引き起こすことがあります。特に寒冷地では、冬場の凍結による水漏れに注意が必要です。
- 水圧の変化:急激な水圧の変化も、配管に負担をかけ、水漏れを引き起こす可能性があります。高層マンションなどでは、高水圧による水漏れのリスクが高まります。
水漏れは、放置すると住宅の寿命を縮めるだけでなく、家財の損傷やカビの発生など、様々な問題を引き起こします。早期発見・対処が重要です。日頃から、水回り設備の点検を心掛け、水漏れのサインを見逃さないようにしましょう。
漏水の一時的な応急処置の方法
水漏れを箇所を発見したら、次にやることは水の供給を断つことです。
住宅の水回りには、水を供給する「給水管」と使った後の水を外に出す「排水管」があります。
これらのどちらから水漏れを起こしているのか確認しながら水を止める必要があります。
もしも、水漏れの箇所が特定できない!という場合には水道メーターボックス内にある止水栓、または水道の元栓を閉めて家の中の水を止める方法をとりましょう。
水を止めずに作業を進めてしまうと、圧力の関係で水漏れが悪化したり思わぬところから水が出て来たりと二次被害を防ぐためにも水を止めることが大切です。
賃貸の場合、管理会社が水道の管理をしている可能性もあるので、トラブルを避けるためにも事前に連絡をいれて許可をとっておきましょう。
給水管からの水漏れの対策・解消法
給水管の接合部から水漏れしているときは、ナットを締めてみましょう。モンキーレンチや、規格に合ったスパナを使用し、ペットボトルのフタと同様、右へ回せばナットがより締まります。
給水管を扱う場合、止水栓を閉めて作業してください。間違えて緩めてしまったり、力を込めすぎてナットを破損させたりすると大量の水漏れを引き起こすことがあります。
強く締め直しても水漏れが収まらない場合は、パッキンなどのシール材を交換する必要があるかもしれません。
パッキンは種類が多いですが、それぞれに合ったサイズ・材質の規格品を選んで用意する必要があります。パッキンの平面に規格や型式などが印字されていることもあるので、取り外した際には確認してください。
それぞれの接続部の規格にあったパッキンを購入したら、いったん給水管を解体します。接続部から古いパッキンを取り除き、ブラシやスポンジなどで汚れや錆びを落として接続部が綺麗な状態で新たなパッキンを取り付け、再度給水管を組み立てましょう。
なお、ナットの締め付けや排水・給水管の解体を行う際には、衝撃を与えたり強い力をかけすぎたりしないよう注意してください。汚れや錆びが固着している場合、無理やり回転させようとして接続部が破損することがあります。
シンク下の排水ホースの接合部がゆるんで水漏れしているならば、締め付けに工具が不要な場合もあります。樹脂製のナットは手で回して締めましょう。
また手締めできる排水ホースであれば、接続に工具が不要な分パッキンの交換が比較的簡単です。シンク下などの暗所で作業を行う際は、安全のため懐中電灯などの照明を使ってください。
排水ホースが破れている場合、ある程度DIYに自信がある人なら、ホームセンターや通販で新しいホースを買って交換することができます。接続するシンクと下水管の規格が合っていて、ホースの長さが同一のものを選ぶのがよいでしょう。
じゃばら状のホースなら必要以上に長くても接続できるものはありますが、長すぎると汚水が滞留して臭いがしたり、劣化を早めたりする原因にもなるので、たるませずに接続できる適切な長さの排水ホースを用意してください。
交換作業時にはホース内に残った汚水がこぼれやすいため、バケツや雑巾を用意しておくのがよいでしょう。
なお、シンク自体が劣化・破損している場合はDIYで対応することは難しいかもしれません。専門業者に相談することをおすすめします。
一般的に、樹脂製の排水ホースの耐熱性は60度程度です。麺類の湯切りなどで、普段からシンクに熱湯を流すことの多い家庭では排水ホースが劣化しやすく、破損のリスクが高くなります。
お湯を捨てる際にはいったんボウルなどの容器に出して冷ましたあとに流すか、同時に大量の冷水を流すなどの方法で対策できます。
またシンクの掃除でお湯を使って消毒するときは、50度程度のお湯でも十分な効果が見込めるので、かならず60度以下まで冷ましたお湯を使用しましょう。
排水ホースからの水漏れの対策・解消法
排水ホースが破損した場合には、キッチンの例と同じく、樹脂製であれば工具不要で交換可能なものもあります。
各接続部からの水漏れは、ナットの増し締めやパッキンの交換を試しましょう。事前に止水栓を閉め、ナットに無理な力をくわえないよう注意して作業を行ってください。
日常生活の中で洗面台の水漏れを防ぐには、蛇口などに不要な力をかけないことが重要です。
古い蛇口はミネラル成分が固着して、ハンドルの開閉に力を必要とするものもあるでしょうが、無理に閉めすぎないことや、ハンドルの回転方向以外の力がかからないように気を付けましょう。
それぞれの水道ごとでパッキンの交換方法については下記の記事で紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
自分で修理できない水漏れは業者に相談しよう
水回りの部品交換は技術や慣れが必要なものもあり、「説明の指示通り作業したつもりなのに接続部からの漏れが止まらない」ということは珍しくありません。
また、工具を買うためには費用と手間が発生します。DIYの知識がある人にとっては大した負担でなくても、不慣れな人には工具や交換部品の選定に時間や手間がかかり、規格の合わない品物を無駄に購入してしまうなどのリスクもあります。
そのため、配管関係の作業経験がある人や、専門の配管作業に従事している人でない限りは、無理に作業を試すよりプロの業者に相談することをおすすめします。
水漏れ対応の相場としては、キッチンや浴室なら8,000~30,000円、洗面所なら8,000~15,000円程度です。水栓やホース、ノズルなどの交換が必要な状況ではその部品代が加算されますが、自力で作業する場合にも同様の費用が発生します。
まず簡単にできる範囲で修理を試し、難しそうだと判断したら無理せず業者へ連絡しましょう。
水道業者に依頼する際には、相場に合った費用で適切な修理を行ってくれる優良な業者を選ぶことが重要です。
漏水被害の保険の適用について
自然災害や故障・事故が原因の損害は、加入している損害保険で被害額をカバーし、修理できる場合があります。
ただし、雨漏りと漏水は、異なる被害として認識されているため、加入している補償内容の保険を確認しましょう。
雨漏りの場合は、火災保険の風災や水災補償となり、漏水の場合は、水濡れ補償がついている保険であればカバーできることがあります。
火災保険では、ご自身が原因の漏水トラブルの場合には、補償が適用されないので注意しましょう。
水漏れの原因についてのまとめ
蛇口や配管から水漏れが起こったときは、まず止水栓を閉めるなどの応急処置を行ってください。
「雨漏り」と「水漏れ」は、両方とも「漏れ」という意味のある言葉であり、一見すると同じように感じられますが、実際には違いがあります。雨漏りは、雨が降るときに屋根や壁から雨水が漏れてくる現象であり、水漏れは、水道や給湯器などから水が漏れる現象です。
修理に関しては、雨漏りの場合は、屋根や壁の穴や亀裂を塞いだり、防水シートを張り替えたりすることが一般的な修理方法です。一方、水漏れの場合は、水道管やバルブ、給湯器などのパーツを修理することが必要です。修理代に関しては、雨漏りの場合は、修理内容によって異なりますが、数万円から数十万円になる場合があります。水漏れの場合も同様で、修理内容によって異なりますが、数千円から数十万円になる場合があります。
水漏れの原因は場所によりさまざまです。原因が分かったら、ナットの増し締めやパッキン交換、部品交換などの修理をできる範囲で試してみましょう。
自分で解消できれば、修理費用を安く済ませられるかもしれません。
作業が難しそうだと感じたら、無理せず水道業者へ修理を依頼するのをおすすめします。
こんにちは
屋根雨漏りのお医者さん栃木県担当の臼井です。
弊社は、雨漏り修理専門のプロ集団で構成された会社です。
私自身は、一級建築士・基幹技能士・一級建築板金技能士など数多くの資格を保有して活動しております。
総合実績11万件以上で皆様の知る建物を数多く修繕してきました。