雨が降るたびに家の中に水が漏れ込む。そんな夢も見たくないような悪夢が、実際にも起こりやすいのが「ベランダ・バルコニーからの雨漏り」です。大雨や台風が繰り返す時期になると特に額等に雨漏りの76%がこの部分からといった報告もあります。
本記事では、ベランダ・バルコニーからの雨漏りの原因や応急処置の方法、そして修理にかかる費用について、広く深く解説します。詳しく知ることで、危険を回避していただければと思います。
ベランダ・バルコニーからの雨漏りは多い
新築住宅のデータでも、「雨漏り」の結構部位として、多いのがベランダやバルコニーなのです。これは平成■年の保険データにより、新築住宅の雨漏り事故の中でも、外壁面の課題に繰り返し挑まれていることが明らかです。
おもしろいのは、広い面積を持つ屋根よりも、比較的小さい面積であるバルコニーからの雨漏りが相当率が高いという点です。これは、設計の複雑さや構造上の挑戦、および、外部結線部の多さなどによるものです。
ベランダとバルコニーの違い
これらは似た用語ですが、実はしっかり違いがあります。「ベランダ」は広い意味では、建物の外側に踏み出して設けられたスペースを指します。ただし、ほとんどの場合、広い幅を持ち、わずかなスペースにも層やひさしがある場合、それを特に「ベランダ」と呼びます。
一方の「バルコニー」は、幅の狭いスペースで、層がなくただロープで区切られているような型式を指します。また、下階が屋内の場合は「ルーフバルコニー」と呼ばれます。
保険適用の判断や対策をする上で、この構造的違いを把握しておくと有用です。
ベランダ・バルコニーの雨漏りが起こる主な原因
ベランダやバルコニーで雨漏りが発生する場合、その原因は一つとは限りません。むしろ、複数の要素が重なり合って雨水の侵入経路を作り出しているケースがほとんどです。まず、代表的な原因を詳しく見ていきましょう。
防水層の劣化や施工不良
ベランダやバルコニーの床には、必ずといっていいほど防水層が施工されています。これは、雨水が床の下地に染み込んでしまうのを防ぐためのものです。しかし、この防水層が経年劣化によりヒビ割れを起こしたり、そもそも施工時に不備があった場合、雨水がじわじわと内部へと侵入していきます。
防水層の種類にもよりますが、一般的に10年を超えると劣化が顕著になり、補修が必要になります。特に、塩ビシート防水やウレタン防水などは施工後の点検を怠ると劣化に気づかないまま重大な被害へとつながる恐れがあります。
ドレン(排水口)の詰まり
ドレンとは、ベランダの雨水を排出するために設置された排水口のことです。この部分が落ち葉や砂ぼこり、洗濯ばさみの劣化パーツなどで詰まってしまうと、排水ができなくなり水が溜まり始めます。その結果、防水層を越えて雨水が下地に流れ込み、室内に漏れてくることがあります。
特に、長雨が続いたあとや台風の通過後などには、ドレン周辺の掃除をこまめに行うことが予防につながります。
笠木や手すり周辺の接合部の不備
ベランダの外縁に設けられている笠木(かさぎ)部分は、外壁や手すりとの接合部に隙間ができやすい構造です。これらの隙間に雨水が流れ込むと、外壁の中に雨水が浸入し、壁内部の木材や断熱材を腐らせる原因になります。
また、施工時のシーリング不良や経年によるコーキング材の剥がれが雨漏りの引き金になることもあります。
外壁とバルコニーの取り合い部の不具合
ベランダやバルコニーと外壁が接する箇所(取り合い部)は、構造上どうしても隙間ができやすい部分です。この部分には、防水テープやシーリング処理、防水シートなどが丁寧に施工されている必要がありますが、施工ミスや経年劣化により水の侵入を許してしまうことがあります。
こうした構造上の問題が複雑に絡み合い、雨漏りが発生するのがベランダやバルコニーの特徴です。次章では、それぞれの原因に対してどのような応急処置が可能かを解説していきます。
ベランダ・バルコニーの雨漏りに対する応急処置の方法
雨漏りが発生した際には、まず被害の拡大を防ぐことが最優先です。ここでは、一般のご家庭でもできる代表的な応急処置の方法について紹介します。
排水溝の掃除と異物除去
雨水の流れをスムーズにするために、ドレンまわりに落ち葉やゴミが溜まっていないかを確認しましょう。ゴム手袋を着用して直接ゴミを取り除き、必要であれば水を流して詰まりがないかをチェックします。これだけでも、雨漏りの進行を食い止められるケースがあります。
防水テープによる応急補修
防水層にひび割れや穴がある場合には、防水テープで一時的に塞ぐことができます。特にウレタン系やブチルゴム系の防水テープは粘着力が強く、雨水の浸入を効果的に抑えることが可能です。ただし、広範囲の劣化や内部への浸水が疑われる場合は、あくまで一時的な処置と考えてください。
シーリング材の充填
ひび割れや接合部の隙間には、シリコン系やポリウレタン系のシーリング材を用いることで、雨水の侵入を防ぐことが可能です。塗布面の汚れをしっかり落とし、必要に応じてプライマーを使用してから施工することで、より効果的な処置となります。
ブルーシートでの簡易養生
豪雨が予想される中で修理まで時間が空く場合には、原因箇所周辺をブルーシートで覆い、雨が当たらないようにする方法が有効です。風で飛ばされないよう、重しやロープなどでしっかりと固定することが重要です。
これらの応急処置は、あくまで本格的な修理までの一時的な対策であることを理解した上で、できるだけ早く専門業者による点検・補修を行うようにしましょう。次章では、実際の修理方法や費用の相場について詳しく解説していきます。
まとめ
ベランダ・バルコニーからの雨漏りは、住宅にとって深刻な問題となる可能性があります。その主な原因としては、防水層の劣化や施工不良、排水口の詰まり、笠木や外壁の接合部の不具合などが挙げられます。これらの問題は、放置しておくと建物内部の腐食やカビの発生といった二次被害を招く恐れがあるため、早めの対応が不可欠です。
一時的な応急処置としては、防水テープやシーリング材、ブルーシートを使った簡易補修が可能ですが、根本的な解決には専門業者による詳細な調査と修理が必要です。ベランダやバルコニーは構造が複雑で浸水経路も多岐にわたるため、原因の特定と的確な処置には経験と技術が求められます。
定期的な点検や清掃、そして必要に応じたメンテナンスを行うことで、雨漏りを未然に防ぎ、住宅の寿命を延ばすことができます。小さな変化や異変に気づいたら、なるべく早く対策を講じるよう心がけましょう。