突然の雨漏り。天井ではなく、なぜか「窓枠」からポタポタと水が垂れている。そんな経験をされた方は少なくありません。実際、窓まわりは建物の中でも雨水が侵入しやすい場所のひとつであり、「窓枠からの雨漏り」は住宅トラブルの中でも発生頻度の高い問題です。この記事では、窓枠から雨漏りが起こる原因や仕組みをH2・H3見出しで体系的に整理し、専門的でありながら一般の方にも分かりやすくお届けします。
窓枠からの雨漏りが起きる構造的な理由
窓は建物の中で最も「雨にさらされる弱点」
窓は外部と内部をつなぐ開口部として、風通しや採光の役割を果たしていますが、同時に外部の影響を最も受けやすい箇所でもあります。とくに強風を伴う雨では、サッシや窓枠に直接雨水が打ちつけられ、微細な隙間から水が入り込んでしまうリスクが高まります。窓は「動かすこと」を前提とした構造のため、どうしても他の固定された壁面よりも密閉性が劣りやすいという弱点があります。
可動部・固定部・接合部の集合体としての窓
窓は単体ではなく、ガラス・サッシ・窓枠・外壁・防水紙・コーキングといった複数のパーツから成り立っており、それぞれのつなぎ目(接合部)に不具合が生じると、そこから雨水が内部へ浸入します。たとえばガラスとサッシの隙間、サッシと外壁の取り合い部、外壁材の継ぎ目、防水紙の破れなど、ほんの小さな欠陥が連鎖的に雨漏りを引き起こすのです。
サッシとは
窓ガラスをはめ込む可動する枠部分。アルミや樹脂でできていて、窓を開け閉めする役割があります。
窓枠とは
建物に固定されている枠部分。サッシを取り付ける土台で、壁の一部です。内装や外壁と接しています。
違いのポイント
項目 | サッシ | 窓枠 |
---|---|---|
動く? | 動く(窓ガラス側) | 動かない(建物側) |
役割 | ガラスの開閉・気密性 | サッシを支える固定枠 |
雨漏り原因 | 排水不良など | コーキング劣化など |
コーキング(シーリング)の劣化

紫外線や熱で固くなり、ひび割れが発生する
窓枠まわりで最も多く見られる雨漏りの原因は、コーキングの劣化です。コーキングとは、窓枠と外壁などの隙間を埋めるゴム状の防水材であり、本来は柔軟性を保ちながら建物の動きに追従して防水性を確保する役割があります。しかし年数が経つと、紫外線や風雨によって表面が硬化し、やがてひび割れや剥離が生じます。その隙間から雨水が入り込み、壁内部を伝って室内の窓枠にしみ出してくるのです。
打ち替えの目安は10年前後、劣化に気づくポイントとは
コーキングの耐用年数は一般的に10年前後と言われており、それを超えると性能が急激に低下する傾向があります。見た目でチェックするなら、コーキングが痩せて溝が深くなっている、表面が粉を吹いている、または指で押しても弾力が感じられないといった場合は打ち替えのサインです。住宅の定期点検では、外壁の塗装よりも先にコーキングの状態を確認することが望まれます。
外壁と窓枠の取り合い部の不具合
施工ミス・部材のズレ・地震の影響も原因に
窓枠と外壁のつなぎ目、いわゆる「取り合い部」は非常にデリケートな場所であり、コーキングや水切り板金、防水テープによって防水処理がなされているものの、少しの施工ミスや経年によるズレで雨水の侵入を許すようになります。特に、外壁の張り替え工事や増改築などで一部がずれたり、古い住宅で地震の影響を受けて微細な隙間が生じた場合、取り合い部の防水性が一気に低下します。
サイディングやALC外壁に多い目地の劣化
サイディングやALC(軽量気泡コンクリート)を使った外壁では、窓まわりにパネルの継ぎ目が集中することがあります。この継ぎ目のシーリングが劣化したり、目地が開いていたりすると、雨水がパネル裏に入り込み、窓枠にしみ出すことがあります。外壁材に異常が見られる場合、窓の下に水の跡が現れたときは取り合いの構造が問題となっている可能性が高いでしょう。
サッシ内部の排水機能の不良
本来は水を流す構造なのに詰まりや勾配不足で逆流
一般的なアルミサッシには「水が入ることを前提に、外へ排水する機構」が備わっています。これはドレインホールと呼ばれる小さな穴から外へ水を流す仕組みですが、ここに汚れや虫の死骸、砂などが詰まってしまうと、サッシ内に水が溜まり、室内側へあふれることがあります。とくに台風やゲリラ豪雨といった大量の雨水が一気に流れ込んだ際には、排水しきれずに漏水することがあります。
定期的な掃除でトラブルを未然に防ぐ
このタイプの雨漏りは、構造そのものの問題というより、メンテナンス不足によるトラブルといえます。月に1回程度、サッシ下部の溝を歯ブラシなどで掃除し、ドレインホールを確認するだけでも大きな防止効果があります。特に掃き出し窓やバルコニーに面した窓は風に乗ってゴミが入りやすく、意識してチェックする習慣が重要です。
防水紙(透湿防水シート)の施工不良・破損
外壁内部の見えない防水層が劣化して水が侵入
防水紙(または透湿防水シート)は、建物の外壁材の裏側に施工されるシート状の防水材で、雨水の侵入を防ぎつつ、内部の湿気を逃がすという重要な役割を担っています。窓を取り付ける際には、この防水紙に切り込みを入れて施工するため、その処理が甘かったり、テープが剥がれていたりすると、そこから水がじわじわと浸入してしまうのです。
リフォーム後や増設窓まわりは特に注意
特に後付けで窓を設置した場合や、窓のサイズを変更したリフォーム工事のあとなどは、防水紙の重ね合わせや防水テープの貼り方が雑になる傾向があります。さらに、築20年以上の建物では、防水紙自体が縮んだり劣化して破れていたりすることもあり、その隙間から水が入って窓まわりに出てくることもあります。外観ではわからないため、原因が特定しづらいのも特徴です。
雨漏りのように見えて実は結露だったケースも
冬場に起きやすい結露との違いを見分ける
窓枠の濡れは、必ずしも雨漏りとは限りません。冬場に多い「結露」は、室内の暖かく湿った空気が冷たいガラス面やアルミサッシに触れることで水滴になる現象です。とくに気密性の高い住宅や、加湿器を多用する部屋では窓まわりに水滴がたまり、それが壁や床へ垂れて、雨漏りのように見えることがあります。
見分けるコツは「雨の日だけか」「天候に関係ないか」
雨の日にだけ濡れるなら雨漏りの可能性が高く、晴れの日や寒い朝にも水分があるようなら結露の可能性があります。また、結露はガラス面に水滴がついているのに対し、雨漏りは壁紙の染み、天井の濡れ、木枠の腐食などが伴うことが多いです。どちらか判別が難しい場合は、発生時間・天候・位置をメモし、専門業者に相談しましょう。

専門業者に相談すべきタイミングと選び方
見える水だけでなく構造全体を調査してくれる業者を
雨漏りの原因は必ずしも窓そのものにあるとは限らず、屋根・外壁・ベランダ・笠木・排水設備など多岐にわたります。そのため、部分的に見える「症状」だけで判断せず、構造全体を調査できる業者に依頼することが大切です。信頼できる業者は、サーモグラフィや散水調査などを駆使して原因を可視化し、写真付きで丁寧に説明してくれます。
雨漏り保証・明確な見積もりがあると安心
選ぶべき業者のポイントとして、「雨漏り再発時の保証がある」「工事内容と金額が明確に提示されている」「施工実績が豊富」「口コミが良い」などが挙げられます。とくに雨漏りは原因の見極めが難しいため、調査と修理の両方を一括して依頼できる業者が理想です。
窓枠の雨漏りに火災保険は使えるのか?
✅ 使用できるケース(補償対象)
以下のように、自然災害など突発的な外的要因で窓や外壁が壊れ、そこから雨が侵入した場合は、火災保険で補償される可能性があります。
- 台風・強風で飛来物が窓枠や外壁を破損し、そこから雨漏り
- 雹(ひょう)や落下物で窓ガラスが割れ、雨水が入った
- 強風でサッシや網戸がゆがみ、隙間から水が浸入
このようなケースでは、「風災」や「水ぬれ」補償で申請できます。
❌ 使用できないケース(対象外)
以下のように、経年劣化や施工不良など、時間の経過による雨漏りは保険対象外です。
- コーキングの劣化による隙間からの浸水
- 防水シートの老朽化
- 窓の取り付けミスやサッシのズレ
- サッシの排水口の詰まりによる逆流
このような場合は、「保険対象外」と判断されることがほとんどです。
火災保険で申請するポイント
- 原因が自然災害であることが証明できるかがカギ
- 被害状況の写真(室内外、被害箇所のアップ)を記録する
- 発生日・被害のきっかけを明確にしておく
- 修理前に保険会社に相談するのがベスト
- 専門業者に「保険申請向けの報告書」作成を依頼できると通りやすい
信頼できる修理業者「屋根雨漏りのお医者さん」の魅力
「屋根雨漏りのお医者さん」の特長は、まず調査力の高さです。単に現場を見て終わりではなく、必要があれば散水試験や構造調査を実施し、どこから水が入って、どう広がっているのかを正確に把握してくれます。施工についても、応急処置だけでなく長期的な視点から雨仕舞いを改善する提案をしてくれるため、同じ場所から何度も漏れるようなことが起きません。
また、火災保険申請のサポートまで行ってくれるのも大きな安心材料です。住まいの健康と安心を守る「お医者さん」として、困ったときに頼れる存在として地域で支持を集めています。
まとめ:窓枠の雨漏りは複数の原因が絡み合う複雑な問題
窓枠からの雨漏りを深掘りすると、表面だけを見て判断できるものではないことがわかります。コーキングの劣化、サッシ内部の排水不良、外壁との取り合い、さらには防水紙の不具合まで、あらゆる要因が複合的に絡み合い、結果として窓まわりに水が現れるのです。だからこそ、見えない部分の異常にも目を向け、適切な調査と補修を行うことが不可欠です。
一見些細な「窓枠の雨漏り」でも、放置すれば家全体の耐久性を損ない、カビや腐食、シロアリ被害など大きな二次被害へとつながっていきます。違和感を覚えたら早めに行動し、信頼できる業者とともに、安心して暮らせる住まいを守っていきましょう。