鉄骨造の建物における雨漏りは、その構造特性上、特別な注意を要する問題です。本記事では、鉄骨造の建物で雨漏りが発生した際の修理方法、およびそれにかかる費用について詳細に解説します。一般的な木造やコンクリート造の建物とは異なり、鉄骨造では雨漏りの原因や対策が特有のものになるため、専門的な知識が必要とされます。
鉄骨造における雨漏りの原因

鉄骨造の建物では、特有の構造的特徴と使用される工法によって、他の構造とは異なるタイプの雨漏りが発生しやすくなります。特にマンションや倉庫、商業ビルなどの中高層建築では、雨水の浸入経路が複雑になり、特定が困難なケースも多くあります。これらのリスクを理解することで、建物の維持管理においてより的確な判断が可能になります。
屋根の継ぎ目の不備
鉄骨造の屋根は複数の金属パネルを組み合わせた構造が主流であり、その継ぎ目や目地が最も雨漏りの原因となりやすい部分です。継ぎ目に用いられるシート状の防水材やコーキングが劣化すると、そこから微細な隙間を通じて雨水が浸入してしまいます。特に風雨の強い日には、屋根材の下に水が滞留しやすくなるため、構造内部にまで水が回り込みやすくなります。
防水層の劣化
屋根や外壁に施された防水層は経年とともに劣化し、不良状態に陥ることがあります。紫外線や酸性雨、日々の気温差による膨張と収縮によって、表面が剥がれたり硬化したりすることが原因です。会社や集合住宅など、多くの人が利用する建物においては、放置された劣化が全体の建物性能に大きく影響を与えることになります。
シーリング材の劣化
外壁や開口部周辺に使われているシーリング材も劣化しやすい要素のひとつです。鉄骨構造では柱や梁の軽量化が進んでおり、建物全体が柔軟に動く特性がありますが、その結果として目地にズレや亀裂が生じ、シーリング材のひび割れが発生しやすくなります。これが主な水の浸入経路となることが多く、現場では必ずチェックすべきポイントです。

雨漏り修理の方法
鉄骨造の雨漏り修理には、建物の構造や損傷の程度に応じて複数の工法が存在します。以下では、代表的な修理方法について解説します。
シーリングの打ち替え
開口部や目地に使用されているシーリング材の打ち替えは、雨水浸入を防ぐための最も基本的かつ有効な手段です。古いシーリングを撤去し、新たな材料に入れ替えるこの作業は、特にマンションやビルの外壁補修でも頻繁に行われており、建物の気密性・防水性を高める重要な工程とされています。
屋根パネルの調整や交換
屋根に用いられている鉄板や金属製パネルにズレや不良な取り付けが見つかった場合、それらを再調整、もしくは新しいものと交換することが求められます。金属屋根は軽量で施工しやすい反面、振動や熱変化の影響を受けやすく、柱や梁との接合部にズレが生じると、そこから雨水が侵入するおそれがあります。
防水層の再施工
防水シートの再施工は、大規模修繕時や既存防水材の劣化が顕著な場合に採用される手法です。シート防水・塗膜防水など、目的や予算に応じて最適な工法を選定することが必要です。施工の流れとしては、旧防水材の除去→下地処理→新たな防水材の施工→仕上げというステップを踏むのが一般的です。
修理費用の概算

鉄骨造の建物の雨漏り修理費用は、修理の範囲、採用される方法、そして業者の選定によって大きく異なることが一般的です。以下は、一般的な修理作業ごとの費用の概算を示していますが、具体的な費用は現地の状況や具体的な要望によって変わる可能性があります。
- シーリングの打ち替え: この作業は、劣化したシーリング材を新しいものに交換するもので、一箇所あたりの費用は数千円から数万円となります。費用は使用する材料の種類や交換が必要な範囲によって異なります。
- 屋根パネルの交換: 屋根パネルが損傷している場合や耐久性が低下している場合に行われる交換作業は、パネル一枚あたり数万円から十数万円がかかることが一般的です。この費用には、パネルの材質やサイズ、施工の複雑さに応じた工事費用も含まれます。
- 防水層の再施工: 屋根や外壁の防水層を全面的に施工し直す場合、費用は平米あたり数千円からとなり、作業の範囲によっては全体で数十万円から数百万円に上ることがあります。この費用は使用する防水材の種類、施工の広さや難易度によって左右されます。
これらの概算は、具体的な見積もりを得るための出発点として有用ですが、実際のコストは業者の見積もりに基づいたものになります。正確な費用を知るためには、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが推奨されます。また、現地調査を行い、具体的な修理が必要な範囲や状況を詳しく把握することが、適切な修理計画とコスト管理につながります。
鉄骨造の雨漏り修理費用:原因別に詳しく解説
鉄骨造の雨漏り修理にかかる費用は、その原因や被害の規模、建物の構造、そして修理業者の価格設定など、様々な要因によって大きく変動します。
ここでは、雨漏りの原因別に、具体的な修理内容と費用の目安を詳しく解説します。
修理箇所 | 費用相場 |
---|---|
シーリング材の打ち替え | 10万円~ |
ボルトの増し締め | 5万円~ |
屋根材の補修 | 5万円~ |
屋根材の交換 | 20万円~ |
錆止め塗装 | 10万円~ |
鉄骨の交換 | 50万円~ |
ただし、これはあくまで目安であり、実際の費用は業者によって異なります。
1. シーリング材の劣化
シーリング材の劣化による雨漏りは、比較的軽微なケースが多いです。
修理は、劣化したシーリング材を撤去し、新しいシーリング材を充填する「シーリング打ち替え」が一般的です。
費用は、劣化箇所数やシーリング材の種類によって異なりますが、1箇所あたり1万円~5万円が相場です。
高層階など、足場が必要な場合は、別途足場代がかかることもあります。
2. ボルトの緩み
ボルトの緩みによる雨漏りも、比較的簡単な修理で済むことが多いです。
修理は、緩んだボルトを増し締めするか、新しいボルトに交換します。
費用は、1箇所あたり5,000円~2万円程度が目安です。
ただし、ボルトの緩みが原因で鉄骨が変形している場合は、鉄骨の補修が必要になり、費用が上がることもあります。
3. 屋根材の破損
屋根材の破損による雨漏りは、被害の規模によって修理方法が異なります。
小さなひび割れや穴であれば、シーリング材などで補修できます。
費用は、1箇所あたり5,000円~2万円程度です。
破損が大きい場合は、屋根材の一部または全体を交換する必要があります。
屋根材の種類や面積によって費用は大きく異なりますが、1㎡あたり1万円~3万円が目安です。
4. 錆の発生
錆による雨漏りは、放置すると被害が拡大しやすく、修理費用も高額になる傾向があります。
軽微な錆であれば、錆を落とし、錆止め塗装を施すことで対応できます。
費用は、1㎡あたり1万円~2万円程度です。
錆が進行し、鉄骨が腐食している場合は、鉄骨の一部または全体を交換する必要があります。
鉄骨の交換は、大規模な工事になるため、費用も高額になります。
1箇所あたり50万円~100万円以上かかることもあります。
その他の費用
上記以外にも、雨漏り修理には以下のような費用がかかる場合があります。
- 雨漏り調査費用: 1万円~5万円程度
- 足場代: 1㎡あたり1,000円~2,000円程度
- 高所作業車代: 1日あたり3万円~5万円程度
費用を抑えるためのポイント
雨漏り修理の費用を抑えるためには、効果的な予防と戦略的な対応が鍵となります。以下のポイントを活用することで、必要となる修理の範囲を最小限に抑え、結果的にコストを削減することが可能です。
- 早期発見・早期修理: 雨漏りを早期に発見し、迅速に対応することはコスト削減の最も効果的な方法の一つです。初期段階での小さな修理は、大規模な損傷を防ぎ、高額な修理費用が発生するのを避けることができます。例えば、小さなひび割れやシーリングの劣化が見つかった場合、すぐに補修することで、大きな問題に発展する前に対処できます。
- 複数の業者から見積もりを取る: 競争原理を利用することで、最もコスト効率の良い業者を選択することができます。複数の業者から見積もりを取り、それぞれの費用、提供されるサービス、保証内容を比較検討します。この過程で、業者の評判や過去の実績も調べることが重要です。
- 定期的なメンテナンス: 定期的な建物の点検とメンテナンスは、大規模な修理が必要になる前に問題を発見し解決するための重要な手段です。鉄骨造の建物では、特に屋根や外壁、シーリング材の劣化を定期的にチェックし、必要な補修を行うことで、将来的な大きな損傷を防ぎます。これにより、突発的な修理費用がかからず、計画的なメンテナンス費用で済むようになります。
これらの対策を組み合わせることで、雨漏り修理のコストを効果的に抑え、建物を長期にわたって保護することができます。また、これらの取り組みは建物の価値を維持し、将来的な売却時にもプラスの要素となり得ます。
雨漏り修理には、業者の選定が非常に重要です。信頼できる会社を見つけるためには、施工事例の一覧を確認したり、現地調査時の対応を見極めることがポイントとなります。また、複数の見積もりを比較し、工法や使用する資材の詳細、作業の流れまでチェックすることで、不透明な費用や過剰な提案を避けることができます。
早期発見・早期修理の実施方法
雨漏りの早期発見と修理を実施することは、建物を長持ちさせるために非常に重要です。具体的な実施方法としては、以下のようなステップが有効です。
- 雨季前の点検:雨季が始まる前に、屋根や外壁、窓枠などの潜在的なリークポイントを徹底的に点検します。この点検では、シーリングの劣化、ひび割れ、屋根材料の損傷、排水システムの詰まりなどが特にチェックされます。発見された問題は、雨季が始まる前に修理や補強を行い、予防的なメンテナンスを実施することで、大きな損傷を未然に防ぎます。
- 異常時の速やかな対応:建物からの異音や、内部の湿度が異常に上昇するなどの雨漏りの前兆に注意を払うことが重要です。例えば、天井からの水滴、壁の湿ったシミ、異常なにおいなどがあれば、それらはすぐに問題があるサインです。このような異常を感じた場合は、速やかに専門家に相談し、必要な修理を行います。専門家による迅速な診断と対応は、問題が拡大するのを防ぎ、修理費用を大幅に削減することが可能です。
- 定期的な保守と記録の維持:定期的に専門家による点検を行うことで、見落としがちな問題点を発見しやすくなります。また、これまでの点検や修理の記録を保持しておくことで、問題のあった箇所や修理の履歴を追跡しやすくなり、効率的なメンテナンスが行えます。これにより、修理が必要なタイミングや頻度をより正確に把握し、計画的に予算を設定することが可能です。
これらの方法を適切に実施することで、雨漏りの早期発見と修理が行え、建物の損傷を最小限に抑え、長期的なメンテナンスコストを削減することができます。
複数の業者から見積もりを取る際のポイント
複数の業者から見積もりを取る際は、コスト効率の良い選択をするためにいくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。以下のガイドラインを参考にして、適切な業者選びを行いましょう。
- 詳細な仕様の確認:
- 修理の範囲: どの部分が修理の対象になっているのか明確にし、見積もりごとに内容が一致しているか確認します。
- 使用する材料: 材料の品質は修理の耐久性に大きく影響します。各業者が提案する材料の種類やグレードを比較し、コストと品質のバランスを評価します。
- 作業期間: 修理に要する時間も見積もりに含め、業者ごとの作業スケジュールの違いを理解しましょう。短期間での完了が可能な業者は、迅速な対応を望む場合に有利です。
- 実績と評価の確認:
- 過去の修理実績: 各業者の過去のプロジェクトや特に雨漏り修理に関する実績を見ることで、その業者の専門性と経験を把握できます。
- 顧客評価: 実際の顧客からのフィードバックやオンラインのレビューを確認し、業者の信頼性や顧客満足度を評価します。顧客の声は、業者選定において非常に有力な情報源です。
- アフターサービスの有無:
- 保証サービス: 修理後の保証期間や条件を確認し、万が一の問題に対する保障を持っているかどうかをチェックします。保証が充実している業者は、サービスに自信がある証拠です。
- フォローアップサービス: 修理後も定期的な点検や必要に応じた追加のサポートを提供するかどうかも確認します。長期的な関係を築くためには、アフターサービスの質が重要です。
これらのポイントを基に業者を慎重に選定することで、修理の質を確保し、無駄な出費を避けることができます。また、見積もりを取る際は、可能な限り詳細な情報を業者に提供し、正確な見積もりを促すことが重要です。

定期的なメンテナンスの重要性
雨漏りの発生を未然に防ぐためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。特に鉄骨造では、構造体が熱や風などによりわずかに動くことがあるため、目地や防水シートにかかる負荷が蓄積されやすくなります。
また、現場での状況に応じて適切な特定と修繕計画を立てるためには、定期点検の記録をしっかりと管理し、次回の補修時期や点検範囲の見直しを行うことが、長期的な建物維持に有効です。
- 亀裂や隙間のチェック:
- 建物の屋根や外壁に発生する亀裂や隙間は、雨水が内部に侵入する原因となります。これらを定期的にチェックし、発見次第、迅速に補修を行うことが重要です。亀裂が小さいうちに対処することで、大きな損傷とそれに伴うコストを防ぐことができます。
- 排水システムの清掃:
- 屋根のドレンや雨樋は、葉っぱや枝、その他の破片で容易に詰まることがあります。これらの排水システムを定期的に清掃し、雨水がスムーズに流れることを確保することは、水たまりが屋根上に形成されるのを防ぎ、水漏れやその他の水害を防ぐのに役立ちます。
- 防水層の点検と再塗装:
- 防水層は、紫外線の影響や温度変化、物理的な損傷によって徐々に劣化します。定期的にこの層の状態を点検し、劣化が見られる場合は、再塗装や補修を行います。防水層のメンテナンスを適切に行うことで、建物全体の防水性能を維持し、長期的な損傷を防ぐことができます。
これらのメンテナンス作業を定期的に行うことによって、突然の修理が必要になるリスクを減らし、建物の構造と機能を保護します。また、メンテナンス計画を立てる際には、季節の変わり目や激しい天候が予想される前に点検を行うことが望ましいです。これにより、予防的な対策が可能となり、結果的に全体的なメンテナンスコストを削減することができます。
まとめ
鉄骨造の建物における雨漏り修理は、適切な対策と定期的なメンテナンスによって、費用を抑えつつ効果的に行うことが可能です。早期発見・早期修理、複数の業者からの見積もりの比較、そして定期的なメンテナンスの実施は、長期的に建物を守り、快適な生活空間を維持するために不可欠です。
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