雨漏りというと、戸建て住宅やアパートなどで起こるイメージがあると思います。
しかし、ビルのような建物であっても雨漏りは起こりえます。
オフィスや店舗なら多くの設備や資料、商品などがあり、それらがずぶ濡れとなり使い物にならなくなる、という被害を受けることもありえます。
今回は、そんなビルからの雨漏りについて解説していきます。
ビルからの雨漏り
ビルでの雨漏りは、一般のお家とも原因や修理方法も少し異なりますが、オフィスビルや商業施設のビルなどでも劣化が原因で雨漏りが発生することが多いです。
戸建て住宅やアパートの屋根を思い浮かべると、三角の傾斜がついた屋根を思い浮かべる方が多いと思いますが、ビルの屋根は大抵、陸屋根と呼ばれる平たい屋根が採用されています。
そのため、ビルでは水捌けが悪いと水が溜まりやすく雨漏りによるトラブルが実は多いのです。
ビルからの雨漏りでの被害
ビルの室内で雨漏りが起きた場合、オフィスであればパソコンやコピー機などの設備機器や、商品、資料などが密集していると思います。
そこに雨漏りが発生すれば、大事なデータが消えてしまったりと多くの2次被害が引き起こり、出費だけでなく取り返しのつかない損害にまで発展してしまうこともあります。
ビルでの雨漏りは、経営にも大きな打撃を与える可能性があるため甘く見てはいけないのです。
ビルで雨漏りする原因
雨漏りの原因は建物の構造と屋根の形状によって違ってきます。
一般の住宅に木造建築が多いのに対して、ビルでは、ほとんど鉄筋コンクリートでできています。
ビルなど鉄筋コンクリート造りの建物が雨漏りをする原因は、主に経年劣化と施工不良によるものが多いです。
コンクリートは木材に比べると耐久性に優れていますが、経年劣化や地震などの災害によってクラックと呼ばれるひび割れのような亀裂が発生します。
また、雨漏りが発生する原因には、屋上や壁、コンクリート、笠木、管など様々な箇所の劣化や不良も考えられます。
その他、納期に間に合わないなどの理由から、きちんとした施工をおこなわない業者も残念ながら存在し、そのような手抜きから施工不良となって雨漏りすることもあります。
ビルの排水口の劣化や破損
屋上で考えられるのが排水口の詰まりです。風に乗ってきたゴミやチリなどによって詰まると、上手く排水できなくなります。このような状況のときに、防水シートの劣化などほかの部分が劣化していればさらに雨漏りの危険性が高まります。 屋根や天井からの雨漏りでは、屋根材の剥がれやひび割れが原因になっていることが考えられます。
ビルの防水層の劣化
ビルの屋上というのは屋根が平面になっており、防水層を施して屋根の防水力を高めています。
ビルの屋上の防水機能が劣化していると、形が平面状なので、水はけが悪く水たまりがどんどん出来てしまい、滞留した水分が浸水して雨漏りとなってしまいます。
そのためビルで雨漏りが発生している時は、屋上の防水機能が劣化して引き起こしている事が多いです。
ビルの外壁の劣化や破損
雨風に直接さらされる外壁は、建物のなかでも劣化しやすい部分のひとつです。 経年劣化によるひび割れや、外壁と外壁の間に注入されているコーキング材の劣化がきっかけになります。 また、台風や大雨などで大きな被害を受けると、壁だけでなく部屋のなかのクロスもシミになることがあります。
雨漏りがビルや高層建築物の構造に与える影響
ビルや高層建築物における雨漏りは、その構造の安全性、機能性、そして耐久性に直接的な影響を与える深刻な問題です。ビルの主要な構成要素である構造体(支持体系)、外装、内装、設備に対して、雨漏りが及ぼす影響は多岐にわたり、それぞれに対する保護策の実施が不可欠です。以下では、ビルの構造を雨漏りとの関連で詳しく説明し、予防と対策について掘り下げていきます。
構造体(支持体系)と雨漏り
ビルの骨格となる構造体は、鉄骨、鉄筋コンクリート(RC構造)、鋼鉄鉄骨コンクリート(SRC構造)などの材料で構成されています。これらの材料は、外力に対する耐性を持っていますが、長期間にわたる雨水の浸透は腐食や劣化を引き起こす可能性があります。特に、鉄骨構造においては、錆の進行が構造体の強度を低下させる原因となるため、適切な防水処理と定期的なメンテナンスが重要です。
外装の雨漏り対策
ビルの外装は、美観だけでなく建物を外部環境から守るバリアの役割を果たします。使用される外壁材には、ガラス、金属、コンクリート、石材などがありますが、継ぎ目や接合部の防水処理が不十分な場合、雨水が侵入し内部に損傷を及ぼす原因となります。したがって、外装材の選定だけでなく、施工時の細部にわたる防水措置と、定期的な点検が雨漏り予防には欠かせません。
内装への影響と対策
雨漏りが発生すると、ビルの内装にも様々な損害をもたらします。天井や壁の染み、塗装の剥がれ、カビの発生などが典型的な被害であり、ビルの使用者の健康や快適性を著しく低下させます。雨漏り対策としては、屋根や外壁の防水性能を高めるだけでなく、内装材料として湿気や水分に強い素材を選ぶことも重要です。
設備への影響と保護措置
ビル内の設備、特に電気設備は水分に非常に敏感です。雨漏りによって設備が損傷すると、ビルの機能停止や、最悪の場合は火災のリスクも伴います。これを防ぐためには、設備室や配線路の防水処理、雨水の侵入を防ぐための適切な設計が必要です。また、雨漏りが疑われる場合の迅速な対応が、さらなる損害を防ぐ上で決定的に重要となります。定期的な設備点検と、雨漏り発生時の即時対応計画の策定が推奨されます。
ビルにおける雨漏りは、その構造や使用者に多大な損害を与える可能性があります。この問題に対処するには、設計、施工、維持管理の各段階で総合的な防水対策を講じることが不可欠です。ビルの所有者や管理者は、専門家と協力し、ビル全体の防水性能の向上に向けた取り組みを進めることが望ましいです。雨漏りによるリスクを最小限に抑えるためには、予防策の実施と、発生時の迅速な対応が鍵となります。
ビルで雨漏りするのは構造が原因
ビルの屋根は傾斜のある形ではなく、勾配がついていない「陸屋根」という形状をしていることが多いです。
平らな陸屋根は、戸建て住宅によく見られる勾配屋根とは異なり、雨水を外に流すことができないため陸屋根には「防水層」で膜を張る防水工事が必要となります。
この防水工事がきちんと行われていないと、ビルやマンションの雨漏りリスクは木造建築よりも高くなってしまいます。
爆裂といったコンクリートの症状
金属の錆が進むと、コンクリートに「爆裂」という現象が起こる。
躯体内に浸入した雨水による錆は、鉄筋や鉄骨を腐食するだけでなく錆自体の膨張によるトラブルも発生させる。
この膨張の圧力によって、周りのコンクリートを押し出してしまうのが「爆裂」だ。
ヒビがはいるだけでなく、完全にコンクリートが崩れてしまい、内部の鉄筋がむき出しになる場合もあります。
躯体である鉄筋コンクリートの性能が著しく悪くなる非常に危険な状態になります。
コンクリートからの雨漏りについてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
ビルからの雨漏りは原因特定が難しい?
ビルは建物自体の大きさがあるため、雨漏りの発見は簡単ではありませんが、ビルからの雨漏り原因の種類はそれほど多くないのです。
また、高所や躯体内で発生しているとなると原因の特定に時間がかかってしまいます。
雨漏りを修理するには、まず原因を特定するために調査が必要です。調査には無料で気軽に相談できる業者があります。業者によっては、見積もりや施工方法の紹介も行ってくれます。また、費用がかかる場合もありますが、部分的な補修であれば比較的やすい価格で対応してくれる場合もあります。
雨漏りを防ぐ対策としては、防水工事が一般的です。防水工事は施工方法によって種類が異なり、キュービクル工法やブリッジ工法など様々な方法があります。施工する工法は現場の様子によって異なります。また、防水工事を行うことで、雨漏りによる被害を未然に防ぐことができます。
オーナーが雨漏りに気づいた場合、早めに業者に相談し、調査や修理を行うことが大切です。雨漏りが放置されると被害が拡大し、修理費用も増加するため、早急な対応が必要です。また、管理会社や管理人に報告し、補修が必要な箇所を共有することも重要です。
ビル内部からの水漏れ
雨漏り以外にも建物内部から発生する「水漏れ」といった症状と雨漏りを見間違えることがあります。
水漏れは雨漏りと異なり、建物内部の配管や水まわり設備から発生します。
水漏れが発生すると雨漏りと同様に各フロアの天井や壁の中が水浸しになってしまいます。
水漏れは、室内の天井や壁の中を通る配管が破損したり、つなぎ目に隙間ができるなどして起こります。
配管には水道用の給水管や給湯管、汚水や生活排水用の排水管、エアコンのドレン管などの多くの種類があり、適材適所に様々な材質が使われます。
給水や給湯は水圧が掛かっているいるので吹き出しやすく水道元栓や止水栓を締めるまで止まりませんし、汚水などの排水管が原因の場合は臭いや汚れなどで内装の被害がさらに大きくなってしまいます。
洗面台の蛇口が壊れたり、トイレが詰まって汚水が溢れたりといった上の階の水まわり設備が原因の場合も、住人が留守だったり夜間のオフィスで起きると対応を行うまでに時間がかかることもあり注意が必要です。
水漏れについてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
ビルの雨漏り修理方法
ビルの雨漏り修理は、基本的に、雨漏りの原因となっている屋根や外壁のコンクリートに
生じたクラック(亀裂)をコーキングによって補修をします。
また、劣化が進んでいる場合には、防水塗装などの防水工事を行い修理します。
ビルでの雨漏りは、雨水の侵入口と実際の被害が現れている箇所とで離れていることも多いため、戸建て住宅よりも雨水の侵入箇所が特定しにくいです。
雨漏りはビルの強度を極端に低下させます
一般的な戸建ての木造の建物の場合、雨漏りが起こり、そのままにしてしまうと柱やその骨組みである木材に雨水が染みて、腐食させたり、シロアリ被害が発生して建物がダメになってしまいます。
実はコンクリートでできたビルであっても、木造と同じようにダメになってしまうのです。建物の規模が大きいだけに、木造をよりも酷いことが起こる可能性があります。
雨漏りの放置についてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
雨漏り修理費用の相場
雨漏り修理の費用相場は、修理する範囲、ビルの状態、使用する材料、依頼する業者などによりますが、一般的な範囲をいくつか紹介します。
- 調査費用: 雨漏りの原因を特定するためには、専門の業者に調査を依頼する必要があります。この調査費用は、約20,000円〜50,000円程度が相場とされています。
- 補修工事費用: これは、雨漏りの原因となる部分を補修するための費用で、その範囲と難易度によります。例えば、シーリング(目地材)の補修ならば、約1,000円〜3,000円/m程度、屋根の補修ならば、約1,500円〜3,500円/m²程度が一般的な相場です。
- 全面改修工事費用: 雨漏りの原因が広範で、全面的な改修が必要な場合は、費用も大幅に上がります。全面的な屋根の改修では、約3,000円〜6,000円/m²程度、外壁の改修では、約4,000円〜10,000円/m²程度が相場となっています。
なお、これらの価格はあくまで一般的な相場であり、実際の価格は修理内容や業者によりますので、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
また、大規模なマンションの場合、管理組合を通じて修理を行うため、修理費用は多数の住民で分け合う形となります。そのため、1戸あたりの費用は上記よりも少なくなることがあります。ただし、全体の修理費用は非常に高額になることもあるので注意が必要です。
このような費用の他に、工事中の仮設賃料や養生費用、廃棄物処理費などが発生する場合もありますので、見積もりを取る際には詳細を確認しましょう。
戸建ビルとの雨漏りの違い
賃貸で雨漏りが起こった場合は、管理人か管理会社、不動産会社などにまずは連絡する必要があります。
自分で修理業者に連絡し、対処することは止めましょう。
また、誰が修理の責任をとるのか、というのは賃貸だからこそ出てくる問題です。修繕義務により、基本的には貸主が責任をとることになりますが、明らかに個人の行為によって雨漏りが起きたときは借主が費用を負担することもあるようです。
ビルメンテナンスを定期的に行い雨漏りに備えましょう
定期的なメンテナンスをきちんと行い、そこまで状態が酷くなければ、すみやかに対処することで重大な事態に至らずに済むケースが多いです。
建物の「長期修繕計画」をあらかじめ作成し、防水層のトップコート塗布などを定期的に行うことも効果的です。
そして管理会社が行うビルメンテナンス業務における日常の点検で、いち早く劣化の兆候や破損などの異状を発見することが重要と言えるでしょう。
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ビルからの雨漏りにお悩みの方は、私たち「屋根雨漏りのお医者さん」に安心してお任せください。
雨漏りは単に不快なだけでなく、ビルの構造に長期的な損傷を与え、修理コストを大幅に増加させる可能性があります。弊社職人の長年にわたる経験を活かして、あらゆる種類のビルや建物の雨漏りに迅速かつ効果的に対処します。
まずはどんなことでも構いませんのでお気軽にご相談ください。
ビルからの雨漏りについてのまとめ
ビルからの雨漏りは、戸建て住宅とは少し異なり原因の特定や修理が難しい場合が多いです。
被害拡大する前に管理会社が行うビルメンテナンス業務における日常の点検で、いち早く劣化の兆候や破損などの異状を発見しましょう。
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屋根雨漏りのお医者さん栃木県担当の臼井です。
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私自身は、一級建築士・基幹技能士・一級建築板金技能士など数多くの資格を保有して活動しております。
総合実績11万件以上で皆様の知る建物を数多く修繕してきました。