よく一般住宅の外壁で使用されるモルタル外壁ですが、経年劣化で起こるのはもちろん、地震や台風などの自然災害や結露などによるダメージによってもモルタル外壁のひび割れは発生します。
また、外壁塗装による塗料の塗りムラや塗装を行う工程に施工ミスがある場合にもひび割れや雨漏りが発生する可能性が高くなります。
良い状態を長く保つためにも定期的にメンテナンを行うことで、ひび割れなどのデメリットを対策することができます。
また、ひび割れなどが悪化すると雨漏りを誘発させる恐れがあるため放置するのは危険ですのでしっかりと対応しましょう。
今回は、モルタル外壁から雨漏りする原因と補修について詳しく解説していきます。
モルタル外壁とは
モルタル外壁とは、水、セメント、砂が混ぜ合わせって形成されたモルタルの外壁で、水1、セメント2、砂5、の割合で作られています。
モルタル壁は塗装で表面に防水性を持たせているため、その塗装が落ちてしまうと防水性がなくなり雨漏りを誘発させてしまうなどの特徴があります。
塗装についての雨漏りはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
モルタル外壁から雨漏りする原因について解説
モルタルの耐用年数は壁材の中でも比較的長めと言われていますが、建物の構造や環境によっては想定より早く劣化して雨漏りの原因箇所となる場合があります。
外壁の雨漏りは、進行すると建物に大きな影響を与えるおそれもあるため、なるべく早めに原因を突き止めて修理などの対応を行うことをおすすめします。
まずは、モルタル外壁から雨漏りする原因についてご紹介したいと思います。
モルタル外壁の雨漏り原因で多い「ひび割れ」
モルタル外壁からの雨漏り原因で多いのは「壁材が劣化し、ひび割れが起こって、そこから雨水が浸入する」というケースです。
モルタルにひび割れが入る原因の一つが「モルタル自体の乾燥」です。
モルタル外壁は築2~3年の新築であっても乾燥で収縮し細かいひび割れが表面に現れることがあります。
また、地震などの外部衝撃や、経年劣化によって防水機能が低下したことでも起こりえます。
雨漏りが発生すると壁紙にシミや浮きが出てきます。ひどくなるとカビが発生しますので、できるだけ早めに修理しましょう。
壁紙のシミについてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
モルタル外壁のひび割れの見分けかた
モルタル外壁の雨漏りの原因となるひび割れですが、雨漏りの点検ではひび割れの種類を見ておく必要があります。ひび割れの種類によっては急を要すものもあれば緊急性が低いものもあります。
基本となるひび割れのサイズは「0.3mm」です。それ以下のひび割れは髪の毛に例え、ヘアークラックと呼ばれており、そこまで急を要す修理が必要なわけではありません。ただ、放っておくと0.3mmを超えてくるために定期的なチェックが必要です。
0.3mmを超えてくるひび割れを構造クラックといい、壁材や防水シートの建材だけでなく木材まで影響を与えている可能性があるため、雨漏りの直接的な原因となっている可能性もあります。構造クラックを見つけた場合は専門業者に確認し、場合によっては修理してもらったほうがよいでしょう。
モルタル外壁の防水機能の劣化で雨漏り
日当たりが悪く湿気がこもりやすい部分のモルタル外壁には、コケ・藻・カビなどが発生する場合があります。
コケやカビは湿度の高い場所に発生しやすいため、これらの発生している部分は防水機能が落ちているおそれがあります。
防水機能が損なわれている部分からは雨水が浸入するリスクも高くなるので、雨漏りの原因箇所になる可能性も考えられます。
また、
コケやカビは根・菌糸をモルタルに張って発生するので、放っておくと根が伸びて落ちにくい汚れになることもあります。
外壁にコケ類を見つけたときはすぐにブラシなどで掃除をして落とし、見た目や防水機能の劣化を防ぎましょう。
モルタルのひび割れは全て雨漏りするわけではない?
モルタル外壁のひび割れには種類があり、必ずしもモルタル外壁のひび割れが雨漏りの原因になるわけではありません。
ひびの幅が0.3mm以下と髪の毛くらいの細さのひび割れは、「ヘアークラック」と呼ばれ、塗装や仕上げ材の乾燥により発生する場合が多く、雨漏りする可能性が少ないです。
3mm以上のひび割れには注意が必要?
幅が3mm以上あるひび割れに関しては注意が必要です。
特に深さが4mm以上のものは構造クラックと呼ばれ、モルタル材だけでなくその下にある防水シートや木材なども破損している場合があります。
そのため、構造クラックのある部分は雨漏りの原因箇所になっている場合が多いです。
見つけた際は早急に点検をして補修してもらいましょう。
外壁のひび割れについてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
モルタル外壁の特徴
モルタル外壁のメリット・デメリットについて解説していきます。
■メリット
・おしゃれで暖かみのある風合で質感が良く味わい深い仕上がりになる
・耐火性に優れている
・金属製の外壁材と違って壁表面が熱くなりにくい
・コーキングの補修が不要
モルタル壁はざらざらとした壁面が特徴的で、それが独特の温かみのある雰囲気を醸し出してくれます。
窯業系サイディングや金属サイディングと比較して、デザインの自由度が高く、和風と洋風、どちらのお家にも合わせることができるのがモルタル壁の良い点だと言えます。
■デメリット
・ひび割れが発生しやすい
・苔やカビなどの汚れが溜まりやすい
・セメントが主成分のためモルタル壁自体の防水性は低い
・工期が長いため、費用が高い
モルタル壁で最も注意したい点は、ひび割れです。
これがモルタル壁の最も大きなデメリットと言っても過言ではありません。
モルタル壁は外壁に継ぎ目がないめ揺れに弱く、ひび割れは必ず発生すると考えた方が良いです。ひび割れは建物内部に水の浸入経路を作ってしまうことになりますので、放置せずにメンテナンスをすることが大切です。
モルタル外壁の雨漏りを見つける方法
雨漏りは建物に大きなダメージを与えるため、早期に発見し対処することが重要です。モルタル外壁の場合、雨漏りの初期症状を見逃さないことがポイントです。ここでは、雨漏りを見つけるための方法とチェックポイントについて解説します。
雨漏りの初期症状とその見分け方
雨漏りの初期症状を見逃さないためには、日常的な観察が大切です。特に注意すべき点は以下の通りです。
- 室内の異変:
- 天井や壁にできる水染み:水染みは、雨水が外壁を通じて内部に浸透しているサインです。特に、天井の角や壁の高い位置に見られることが多いです。
- カビの発生:カビは湿気の多い環境で発生しやすいため、室内のカビの発生は雨漏りを示唆する重要なサインです。カビの匂いや目に見える黒ずみを確認しましょう。
室内の水染みやカビのチェックポイント
- 水染みの場所と形状:
- 天井や壁にできる茶色や黄色の染みは、水が浸入していることを示します。特に、雨の後に新たな染みが現れる場合は要注意です。
- 壁紙の剥がれや浮きも、壁内の湿気が原因であることが多く、雨漏りの可能性があります。
- カビの発生場所:
- カビは湿気が溜まりやすい場所に発生します。浴室や洗面所、キッチンのほか、壁や天井の隅、家具の裏なども注意深く観察しましょう。
- カビの匂いが強くなっている場合、壁内部で水分が滞留している可能性があります。
外壁のひび割れや剥がれの確認
外壁の状態も、雨漏りの早期発見において非常に重要です。以下のポイントを定期的に確認しましょう。
- ひび割れの発見:
- モルタル外壁は、温度変化や振動などでひび割れが生じやすいです。ひび割れが雨水の浸入口となるため、小さなひび割れでも見逃さないことが重要です。
- 特に、窓枠やドア周辺、壁の接合部などはひび割れが発生しやすい箇所です。
- 外壁の剥がれや劣化:
- モルタル外壁が剥がれている場合、その下の防水層が露出し、雨水の浸入を許しやすくなります。
- 塗装の剥がれや、モルタル自体が欠けている箇所がある場合も、早急な補修が必要です。
これらのポイントを定期的にチェックすることで、モルタル外壁の雨漏りを早期に発見し、対処することが可能になります。雨漏りは建物の寿命を縮める重大な問題ですので、早めの対策が肝心です。
モルタル外壁からの雨漏り補修方法
新築時の塗料にもよりますが、築10年を越えた建物であれば防水機能が失われている可能性が考えられるため、塗装を検討する必要があります。
また、ひび割れから雨漏りしている場合には、コーキングを注入しひび割れを補修します。
モルタルひび割れの補修方法
まず、ひび割れが起きている部分をV字かU字どちらかでカットしますが、 深いところまでひび割れができている場合は、補修材がつきやすくなるためU字カットが効果的とされています。
ひび割れを埋めてしまう前に、モルタルに補修材が定着しやすくするためプライマーで下塗りをします。
塗り終わったら、先ほどカットした部分をコーキングで埋め、その後モルタルでも埋めていきます。
モルタルの補修が終わったら、その上を塗装をします。
塗装作業は、見栄えを良くするだけでなく、モルタルを保護する役割もあり、 しっかりと塗装しておけば、ひび割れが広がる心配はありません。
モルタル外壁の仕上げについて
モルタル外壁には様々な模様がつけられています。
この模様は、スプレーガンを使用した吹付塗装でつけているものと、コテ塗りやハケで模様をつけているものがあります。
コテ塗りは左官職人による施工方法で、コテやハケなどの道具を使って模様づけし、吹付塗装には、塗料に骨材を混ぜ合わせて吹き付けるスタッコ、細かい砂と塗料を混ぜ合わせたリシン、塗料を玉状に吹き付けて仕上げるタイルなどがあります。
一般的には吹付塗装で行うことが多いです。
モルタル外壁の雨漏り補修費用
定期的なメンテナンスを行っていても、モルタル外壁にひび割れが起きてしまうケースは当然存在します。
その場合、シーリング材やセメントを用いて補修をする必要があります。
補修資材購入費用は、500~2,000円/平方メートル程度を想定しておけばよいでしょう。
業者に依頼する場合は、4,000~6,000円/平方メートル程度の費用が生じるのが一般的です。
また、メンテナンス等で、モルタル外壁を塗装する費用は、塗料の種類や仕上げ方法の違いによって相場が変動します。
安価なアクリル塗料で約50万円〜80万円、最も高価な光触媒で110万円〜160万円ほどです。
一般的なシリコン塗料では、70〜100万円程度になります。
モルタル外壁の雨漏りを防ぐ方法
モルタル外壁から雨漏りを防ぐためには、以下のようなことを心がけましょう。
- 定期的なチェック: 家の外壁を定期的に見て、壁にひび割れや古くなった部分がないか確認しましょう。早く見つけて修理すれば、大きな問題を防げます。
- きちんと作ること: モルタルを塗るときには、正しい方法で作ることが大切です。間違った方法で作られたモルタルは、雨漏りの原因になります。
- 防水層を作る: 壁の内側と外側の間に防水層を作ると、雨水が家の中に入るのを防げます。
- 壁に塗装をする: 外壁に塗装をすると、壁が水を吸い込むのを防げます。これにより、雨漏りを防ぐことができます。
- 屋根も見てみる: 屋根から雨が漏れることもありますので、屋根の状態も定期的に見て、必要なら修理を行いましょう。
- わからないことは聞く: 難しい問題に直面した時や、専門的なアドバイスが必要な場合には、プロに相談しましょう。
これらの方法を使うと、モルタル外壁からの雨漏りを防げます。しかし、具体的な方法や作業は難しいので、プロに相談するのが最善です。
モルタル外壁の寿命
モルタル外壁の寿命は通常、約30年から40年とされていますが、その耐用年数は、気候条件、地域の環境、材料の品質、施工の正確さ、そして維持管理の実施状況によって大きく異なります。特に強い日差し、多雨、高湿度の条件下や、海岸近くの塩害がある地域では、モルタル外壁の劣化が早まることがあります。また、建物の外壁に使用されるモルタルの品質が高ければ高いほど、また施工が適切に行われていれば、外壁はより長持ちします。
定期的なメンテナンスも外壁の寿命に重要な役割を果たします。これには、外壁の清掃、ひび割れや剥がれの発見と修理、適切な防水処理の施行が含まれます。これらの維持作業を怠ると、小さな問題が大きな損傷につながり、修理費用が増大し、最終的には外壁の全面的な交換が必要になる場合もあります。
建物の設計も外壁の寿命に影響を与える要因の一つです。例えば、雨水が直接壁面に当たりやすい設計は、モルタルの劣化を早めることがあります。このように、多くの要因が複合的に影響するため、モルタル外壁の管理と保守は専門的な知識と注意を要する作業です。外壁の健全性を長期にわたって維持するためには、これらの要素を適切に管理し、必要に応じて専門家の意見を求めることが賢明です。
モルタル外壁からの雨漏りについてのまとめ
モルタル外壁の劣化は、意外と見落としてしまうことが多く、雨漏りの原因になっていると気づかない場合が多いので、定期的に調査をしてもらい、適切な補修をしてもらうのが望ましいです。
「雨漏り修理に関する相談をしたい」という方も大歓迎です。お気軽にお問い合わせください
こんにちは
屋根雨漏りのお医者さん栃木県担当の臼井です。
弊社は、雨漏り修理専門のプロ集団で構成された会社です。
私自身は、一級建築士・基幹技能士・一級建築板金技能士など数多くの資格を保有して活動しております。
総合実績11万件以上で皆様の知る建物を数多く修繕してきました。