太陽光発電は、今や「床暖房つけますか?」と同じくらい、誰しもが新築を建てる時には「太陽光どうしますか?」と聞かれる時代です。
新築じゃなくても、屋根にソーラーパネルを大量に乗せている住宅はたくさんありますよね。
太陽光発電は政府主導の事業なので、固定買取期間内で初期投資の元が取れますし、その後の売電収入は全て利益になります。
しかし、ソーラーパネルが原因の雨漏り、火事、風害なども発生しています。
なので「大切な屋根」にそんなものを乗せて大丈夫なの?
ソーラーパネルと屋根の下の防水シートはどうなるの?と心配になります。
太陽光発電(ソーラーパネル)とは?メリットは何?
太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを利用して発電することです。
太陽の光はたくさん使っても枯渇しないため、再生可能エネルギーの1つとされており、現在では数多くの住宅の屋根にソーラーパネルが設置されています。
ソーラーパネルを取り付けるメリットは以下のようなものがあります。
・ 電気代を節電できる
・ 災害や停電に備えられる
・ 断熱効果
・売買することで収入を得ることも可能
ソーラーパネル設置のメリット
ソーラーパネルを取り付けることで、電気代が削減することができます。
一般的な家庭だと7~9割の電気を賄うことができると言われています。
また、災害や停電した際にも電気を利用できるので安心して暮らすことができます。
発電した電気は電力会社に売ることだってできるので収入を得ることも可能です。
万が一に備えられるのは安心ですね!
ソーラーパネル設置のデメリット
ソーラーパネルの設置はメリットだけでなく、もちろんデメリットもあります。
主に以下のようなデメリットがあります。
・ 雨漏りしやすくなる
・ 設置費用が高い
・ 定期的なメンテナンスが必要
・屋根をメンテナンス際に手間がかかる
ソーラーパネルを取り付けるのに一般家庭で100万前後の費用がかかり、定期的に点検や掃除などのメンテナンスを行う必要があります。
また、屋根に載せているため、屋根が劣化しやすく雨漏りしやすくなります。
屋根を修理する際には、一旦太陽光発電を下ろす必要があるため費用がかかります。
ソーラーパネルの設置は
屋根に負担がかかるんだね!
ソーラーパネルを設置すると雨漏りリスクが高まる?
ソーラーパネルの設置で気になるのが「雨漏り」リスクの増大です。
ソーラーパネルが載っていなくても雨漏りしている家はたくさんあるのに、本当に屋根にソーラーパネルを載せて大丈夫なの?と不安に思う方もいらっしゃるかと思います。
その疑問を解決すべく、まずは屋根材の交換時期から調べてみましょう!
屋根材やソーラーパネルのメンテナンス・交換時期を解説
屋根といえば定期メンテナンスが必要な場所ですが、ソーラーパネルを設置すると、ソーラーパネルの下の屋根のメンテナンスができないのでは?と心配になります。
まずは、各部材のメンテナンスや交換時期を調べてみましょう。
- 瓦(和瓦・洋瓦)…定期メンテナンスはほぼ不要
- スレート屋根……15年から25年でメンテナンスor交換が必要
- ガルバリウム鋼板……20年程度でメンテナンスが必要
- 防水シート……10年から20年でメンテナンス・交換が必要
- ソーラーパネル……20年から30年
防水シートの耐用年数より、
ソーラーパネルの耐用年数の方が長いんですね!
この場合、防水シートが問題です。
ソーラーパネルを一度屋根から下ろして防水シートのメンテナンスを行う必要が出てくるのです。
屋根の雨漏りはほとんどが「防水シート」で防いでいると言っても過言ではないので、防水シートのメンテナンスは欠かせません。
まだソーラーパネルが普及してから日が浅いので、あまり問題にはなっていませんが、これから徐々に問題化してくるはずです。
【結論】
ソーラーパネルよりも先に屋根材等のメンテナンスが必要になります。
ですので、ソーラーパネルを取り付ける際は、屋根材・防水シートを新しくしてから取り付けましょう。
また、設置する際は「屋根の部材のメンテナンス」についてもしっかりと業者に確認しましょう。
屋根材についてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
太陽光発電(ソーラーパネル)のトラブルで雨漏りが起きる原因
太陽光パネルが原因で起こる雨漏りの多くは、太陽光パネルを屋根に設置する際の施工ミスと、施工者の知識不足にあります。
通常、太陽光パネルには、「屋根一体型」と「屋根置き型」の2種類があります。
屋根一体型であれば、屋根に穴を開けないで設置ができるのでいいのですが、問題は屋根置き型の太陽光パネルです。
こちらは、どうしても屋根に穴を開ける工法となるため、しっかりとした知識がない業者が行うと雨漏りしやすくなります。
大抵は、安く太陽光パネルを取り付けようと考える方が多いため、屋根置き型の工法が採用されます。
したがって、必然と太陽光パネル設置による雨漏り問題が浮かび上がってくるのです。
上の動画は、実際に屋根雨漏りのお医者さんにご依頼をいただいて、雨漏りの状態を見に伺った時の動画になります。
屋根裏を撮影させていただいているのですが、屋根の上から多数のネジが屋根裏に貫通しています。
実際に、雨が降るとたくさんの雨水がこのネジをつたって、ポタポタと雨漏りしているのです。
屋根の上は、ある程度の雨漏り対策はされているようですが、この程度であれば、コーキング等の寿命であっという間に雨漏りしてしまうような造りだと思います。
このような住宅がソーラーパネルの売電価格が高騰したちょっと前に一気に増えていったので雨漏りは急増しているのです。
このように、既に屋根に穴が空いてしまっている場合、雨漏りが始まったら最悪一度パネルを下ろして穴を空けないやり方で載せ直すか、もうソーラーパネルを外してしまう、などという処置をせざるを得ないでしょう。
穴を開ける取り付け方だと雨漏りしやすいんだね!
ソーラーパネルの施工ミスによる雨漏り
太陽光パネルを直打ち工法によって設置する場合、垂木に固定するか、野地板に固定するかメーカーによって分かれます。
どちらも、屋根材はもちろん、その下の防水シート、野地板も貫通させますので、当然しっかりと防水対策を行う必要があります。
それが不十分であったり、手を抜いていたりすると、釘穴などから雨漏りが発生します。
また、太陽光パネルを設置する際に瓦がズレてしまったりすると、これも雨漏りに繋がります。
施工者の知識不足による雨漏り
太陽光パネルで次に多い雨漏りの原因は、施工者の知識不足です。
通常、経年劣化が激しい屋根や、スレート屋根かつ野地板がバラ板の場合など太陽光パネルの設置ができない条件があります。
設置するには、新しく屋根材を葺き替えてから設置しなければならないのですが、劣化した屋根材のまま無理やり太陽光パネルを取り付けようとして雨漏りが発生するケースも少なくありません。
雨漏りは、太陽光パネル取り付け後すぐに発生する場合もありますが、大抵は工事後、数年を経てから発生するという場合もあるので注意が必要です。
ソーラーパネルを取り付ける工法
屋根に穴を開けない工法は主に3つあります。
・ キャッチ工法
・ シンプルレイ工法
・ 支持瓦工法
これらの工法であれば、屋根に直接穴を開けないため、設置後の雨漏りリスクを軽減できます。
これらの工法の工事費用は高くはなりますが、雨漏りのことを考えるとお得になる場合があります。
以下に、主な3つの工法について詳しく説明します。
- キャッチ工法: キャッチ工法は、屋根の上部や側面に特殊なクランプやフックを使用して、太陽光パネルやその他の設備を取り付ける方法です。これらのクランプやフックは、屋根の瓦やスレートに挟み込まれるため、穴を開ける必要がありません。この工法は比較的シンプルであり、屋根の損傷や雨漏りのリスクを最小限に抑えることができます。
- シンプルレイ工法: シンプルレイ工法は、屋根の上部に専用の取り付け具を使用して、太陽光パネルやその他の設備を設置する方法です。これらの取り付け具は、屋根の表面に固定されるため、穴を開けることなく設置できます。この工法は、屋根の形状や材質に応じて様々な取り付け具が用意されており、柔軟性が高い特徴があります。
- 支持瓦工法: 支持瓦工法は、屋根の瓦やスレートの間に特殊な支持金具を挟み込むことで、太陽光パネルやその他の設備を取り付ける方法です。これらの支持金具は、屋根の瓦やスレートと一体化されるため、穴を開けることなく屋根に設置できます。この工法は、屋根の風負荷や耐荷重性を考慮した設計が必要ですが、雨漏りのリスクを軽減できる利点があります。
これらの工法は、屋根に直接穴を開けないため、屋根の防水性を保ちながら設備を取り付けることができます。ただし、工事費用は通常の方法よりも高くなることがあります。しかし、その分、雨漏りや屋根の損傷などのリスクを軽減できるため、長期的に見ればコストメリットがある場合があります。
雨漏りは屋根に穴をあけない施工方法で対策
スレート屋根や瓦屋根の場合には、屋根に穴を空けて太陽光パネルを設置することが多いですが、屋根の種類によっては穴を空けなくても施工ができる場合があるため、穴を開けない方向性で工事を行いましょう。
金属屋根の場合、縦ハゼ、横ハゼであれば、屋根に穴を空けることなく施工ができます。
こちらも穴を開けずに太陽光パネルの設置を行いましょう。
いずれも、雨漏りのリスクを最小限に抑え、安心して太陽光パネルの設置を行ってくれる業者を慎重に選びましょう。
実際にソーラーパネルを設置して起きたトラブル
ソーラーパネルが原因で、実際に発生した発火による火事や、台風による風災の被害について確認してみましょう。
・ ソーラーパネルの発熱で発火
・ 雪止め金具で発火
・ 屋根と一緒に吹き飛ぶ
①屋根一体型パネルが「ホットスポット」で発熱発火
2016年4月11日に、川崎市の住宅で太陽光パネルや屋根を焼く火災が発生しました。
火災を起こしたのはシャープ製の屋根一体型のソーラーパネルで、2006年にソーラーパネルを設置してから10年後に発火しました。
火災の原因は瓦のずれによるものです。
通常、ソーラーパネルは瓦などが覆いかぶさってしまうと「ホットスポット」という現象がおきます。
ホットスポットが起きると、太陽電池の発電機能が邪魔されて、パネル自体が発熱して発火する可能性があるのです。
ホットスポットは落ち葉やゴミなどで発生することが分かっていますが、今回の火事では施工ミスではなく偶然、瓦がずれたため、ソーラーパネルが影になってホットスポットとなり、発火したとのことです。
メーカーが再現実験を行ったところ、発火しなかったためホットスポットだけが原因とはいえないとしていますが、施工マニュアルの徹底を呼びかけています。
このケースはレアケースという認識ですが、ソーラーパネルが大量に設置された2015年以降の住宅にも起き得るリスクです。
②雪止め金具が原因で屋根置き型のソーラーパーネルが発火
こちらのケースは、屋根に置くタイプのソーラーパネルから出火しました。
原因は、雪国ではどの家でも設置している「雪止め金具」です。
雪止め金具が、パネルの裏側を傷つけ、導電、短絡し発火したと見られています。
設置した当時は、雪止め金具とソーラーパネルは接触していなかったようですが、積雪によりソーラーパネルが押されて屋根に付属している雪止め金具に押し付けられる形になったとのことです。
③施工不良が原因でソーラーパネルと屋根が吹き飛ぶ
こちらはソーラーパネルが強風で吹き飛んだケースです。
2017年10月に、5年前に設置したソーラーパネルと、その下の屋根が強風に吹き飛ぶ事故が起きました。
ソーラーパネルは、既存の屋根に設置する「屋根置き型」です。
通常は、その地域で想定される強風に対応できるよう設置すれば吹き飛ぶことはないとされていますが、今回の事故の原因はボルトの施工不良です。
屋根置き型のパネルは通常4つのボルトで固定されるのですが、1つでも緩んだり破損したりしてしまうと、パネルが吹き飛ぶ危険性があります。
ソーラーパネルのトラブルを避けるためには業者選びが大切
ソーラーパネルが原因の火事や風害の多くが「施工ミス」や「業者の知識不足」が原因で発生しています。
もともとデリケートな屋根に設置するので、屋根に対する専門知識とともに、ソーラーパネルに関する最新の知識を持ち合わせた業者を選ぶことが必要不可欠です。
甘い認識で、施工をすると先ほどご紹介した事例のように火災が起きたり、風邪で飛んで行ってしまったりという事故が発生する可能性があります。
火災や風害は、自宅のみならず近所に損害を与えることが多いため、危機意識を持って自分で慎重に業者を選びましょう。
間違えても自宅に、「今なら太陽光が実質無料ですよ」などのうたい文句を武器にやってきたセールスマンの口車に乗って契約することだけは避けてください。
訪問業者には気をつけた方がいいんだね!
太陽光パネルを設置する際はIDを所有している業者を選ぶ
施工不良が起こるリスクを防ぐには、しっかりとした施工業者を選ぶ必要があります。
太陽光パネルを設置する際には、「販売ID」と「施工ID」を持っている業者に依頼しましょう。
「販売ID」と「施工ID」とは、太陽光発電のメーカーが認めた設置業者に発行されるものを言います。
太陽光パネルを設置する業者を選ぶ際は、これらの正規資格を保有していることを必ず確認しましょう。
複数のメーカーのIDを持っている業者であれば、よりいいです。
また、優良な業者であれば、素人である我々に対しても、わかりやすく的確な説明・解説をしてくれるものです。
しっかりとその人の人柄も見ましょう!
太陽光パネル設置後も定期点検を行いましょう
太陽光パネルの設置後も、定期的な点検やメンテナンスは重要です。
取り付けた施工会社によっては初年度のみ無償で行ってくれる、もしくは10年間のうち数回の点検・診断サービスを実施しているなど、行っている場合がありますので活用してみるのも一つの手です。
また、太陽光パネルの洗浄なども行ってくれる会社を見つけるのもいいかもしれません。
サービスでメンテナンスをつけてくれるところがあるんだね!
ソーラーパネルの保証で雨漏り修理は行えるのか?
太陽光パネルには、「メーカー保証」と「施工保証」の2つの保証があります。
メーカー保証とは、太陽光パネルそのものに不具合があった場合にメーカー側が保証するもので、施工保証とは、施工した際に不具合が出てしまったら業者側が保証するというものがあります。
もしも、施工不良によって雨漏りが発生してしまった場合、メーカーは補償してくれません。
その場合は、施工保証が必要になります。
ですので、しっかりと施工保証がついているか?その会社は安心できる会社なのか?(倒産しないかなど)を判断して依頼するようにしましょう。
太陽光パネルからの雨漏りの相談事例
ここからは実際に、屋根雨漏りのお医者さんで雨漏りの調査・修理した事例を紹介いたします。
太陽光パネルからの雨漏り
Q.金属屋根で屋根には太陽光パネルがあります。雨漏りしているので見てもらいたいです。
屋根に上がり確認に来たところ屋根の上には、太陽光パネルがぎっしりありました。
天井をあけて、確認したいと思っていたら、丁度雨が降っていたので、即座に高所作業車を借り、早速天井をあけてみました。
幾度か補修をした跡がありましたが、まだきちんとは直っておりませんでした。
少し大掛かりにはなりますが、きちんと雨漏りを止める施工方法を提案したいと思います。
また、金属屋根ですが結構な錆が出ています。
火山灰の影響があるかもしれませんね。
しっかりと修理させて頂きます。
工場の屋根の雨漏り
Q.工場の屋根から雨漏りしています。
太陽光パネルも設置してあります。
一度見て頂きたです。
A.折板と呼ばれる金属の屋根が錆びていますね。
また、太陽光パネルの設置方法も気になります。
特に周囲の板金は錆がひどい状態です。
近年の金属屋根はほとんどガルバリウム鋼板で、できているため錆びにくくなっているのですが、おそらくこちらはそれ以前の亜鉛鉄板製だと思われます。 また、太陽光パネルも設置してあり、雨漏りの原因が特定しづらい状況ですが、周囲に取り付けてある付属器具が屋根を貫通して固定してあるため、こちらが原因の可能性も高いと考えられます。
修理のご提案
太陽光パネルの設置については、専門的な技術も必要となってきますが、屋根を極力貫通しない固定方法での施工を提案させて頂こうと思っております。 また、極端に錆びている屋根の周囲の部分も新しいガルバリウム鋼板でカバーする工事を提案させて頂こうと思います!
まとめ
太陽光パネルの雨漏りの原因の多くは、施工業者によるものが多いです。
ですが、素人の方が施工業者の技術力を判断するのは難しいため、設置する際の工法を聞き、できれば直打ち工法は避けて、費用は上がりますが直接屋根に穴を開けない工法を選びましょう。
また、業者を選ぶ際は、メーカーが認める販売・施工の「ID」を持っている業者に依頼しましょう。
施工保証が、あるかないかだけでもかなり違うので、施工保証がある業者を選ぶことが大切です。
設置後は、定期点検を行い不具合がないか確認してもらうのも大切です。
こんにちは
屋根雨漏りのお医者さん千葉県担当の飛留間です。
弊社は、雨漏り修理専門のプロ集団で構成された会社です。
私自身は、・基幹技能士・一級建築板金技能士など数多くの資格と表彰状を保有して活動しております。
総合実績11万件以上で皆様の知る建物を数多く修繕してきました。