今までは雨漏りしていなかったのに、屋根の塗装をしたら雨漏りが発生なんてことがあります。
これは毛細管現象と呼ばれるものが関係してきます。
毛細管現象とは、細い空間の中を液体が浸透していく物理現象で、水にストローを指すとストロー内部の水面が他の部分よりも高くなっていることに気づくかと思います。これと同じように屋根の重なりが水を吸い上げてしまうのです。
今回は、この毛細管現象について解説していきます。
毛管現象とは?雨漏りにつながる?
毛細管現象とは、屋根の場合、雨水が細い隙間を重力に関係なく広がり浸透していく現象の事を言います。
発生が特に多いスレート屋根でこの現象が起こ利、雨漏りが発生します。
スレート材の重なった隙間に雨水が入り込み、毛細管現象により雨水が内部に浸透してしまい、屋根を取り付ける釘穴等から内部屋根裏に漏れ出し雨漏りを誘発させます。
毛細管現象の科学的解説
毛細管現象は、液体が重力の影響を受けずに狭い空間を通じて移動する現象を指します。この現象は、液体と固体の間の表面張力によって引き起こされ、特に水のような液体に顕著です。液体が管の壁に触れると、管の材質によっては液体が上昇することがあります。この力は、液体の分子間に働く凝集力と、液体分子と固体分子との間に働く接着力のバランスによって決まります。
植物の生理学では、この現象が根から葉へと水分を運ぶために重要な役割を果たします。植物の根は地中深くに広がり、土壌から水分を吸収します。吸収された水は、毛細管現象を利用して細い根の管を通じて葉の方向へと移動し、光合成のプロセスで使用されるのです。
建築物における毛細管現象は、しばしば問題の原因となります。たとえば、家の基礎や壁に小さな亀裂がある場合、そこに水が侵入し毛細管現象によって上昇します。水が上昇することで、壁内部の湿度が高くなり、結露やカビの原因となることがあります。また、屋根の材料やその施工方法が適切でない場合、雨水が毛細管現象を通じて屋根材の内部に浸透し、内部で蒸発する前に室内に漏れ出ることがあります。
このような問題を防ぐためには、建築材料の選定に注意が必要です。水の浸透を防ぐためには、表面が滑らかで、水との接触角が大きい材料を選ぶことが効果的です。さらに、建築時には細部まで注意深く施工することが求められ、亀裂や隙間が発生しないようにする必要があります。
毛細管現象は自然界や私たちの生活の中で広く利用されている一方で、建築分野では様々な対策が必要となる複雑な現象です。この現象を理解し、適切に管理することで、建築物の耐久性を高め、快適な居住環境を保つことができます。
屋根材から毛管現象で雨漏りへ
屋根というのは一枚一枚が独立しいる屋根材を何百枚と屋根に並べられてできています。
そのため、屋根というのは屋根材と屋根材の間には隙間が存在しています。
この隙間というのは雨漏りを防ぐために非常に重要で、万が一雨水が浸入したとしても排水する出口としての役割を果たしています。その他に滞留した湿気を逃がす換気口としての役割も担っています。
ですが、その隙間を屋根業者が「屋根塗装」や瓦のズレを防いで耐風性や耐震性を上げる目的で行われる「ラバーロック工法」を行う際に塞いでしまうことがあるのです。
そうなると当然隙間はなくなり、そこに雨が降ってきてしまうと僅かな隙間から侵入した際に水の出口がなく室内に流れ込んでしまいます。
そうして雨漏りへと繋がってしまうのです。
雨漏りは縁起りによっても起こる
縁切りとは、屋根を塗装した後に、塗料で埋まってしまった屋根材の隙間をカッター等で空けてあげる作業です。
縁切りができていないと、水の逃げ道が塞がり雨漏りを起こしてしまいます。
これが毛管現象と深く関係しており、毛管現象を起こさないためにも屋根材と屋根材の重なりに一定の隙間を確保する必要があります。
縁切りの際は、カッターの他に、タスペーサーと呼ばれるプラスチック製の差し込む部材が使われることが一般です。
雨漏りの発生場所
雨漏りは様々な場所で発生する可能性があります。以下は一般的な雨漏りの発生場所の例です。
1 屋根の隙間 屋根の瓦や板金などの材料の接合部や隙間から雨水が侵入することがあります。特に古い屋根や劣化した材料の場合、隙間が生じやすくなります。
2 屋根材の破損 スレート屋根や瓦屋根の場合、個別の屋根材が破損している場合があります。ひび割れや欠損があると、雨水が屋根の下に侵入する可能性があります。
3 雨樋や排水管の詰まり 雨樋や排水管が詰まっていると、雨水がうまく流れずに屋根の下に溜まってしまう場合があります。その結果、雨漏りが発生することがあります。
4 屋根の勾配不足 屋根の勾配が不足していると、雨水が滞留しやすくなります。水がたまることで屋根材が劣化し、雨漏りの原因となることがあります。
5 屋根裏の通気不良 屋根裏の通気が悪いと、湿気や結露が発生しやすくなります。これらの問題が放置されると、雨漏りの原因となることがあります。
スレート屋根の特徴
スレート屋根は一般的に耐久性があり、美しさと実用性を兼ね備えた屋根材です。以下にスレート屋根の特徴をいくつか挙げます。
1 耐久性 スレートは耐久性が高く、長期間にわたって屋根の保護を提供します。耐候性に優れており、風や雨、日光にさらされても変色や劣化しにくい特徴があります。
2 施工の容易さ スレート屋根は比較的施工が容易であり、多くの場所で使用されています。スレートは軽量でありながら強度があり、取り扱いや設置が比較的簡単です。また、切りやすい素材であるため、屋根の形状に合わせて自由にカットすることができます。
3 耐火性 スレートは非常に高い耐火性を持っています。火災のリスクを軽減するため、耐火性が求められる建物や地域でよく使用されます。
4 音の吸収効果 スレートは音の吸収効果があります。雨音や風の音を吸収するため、屋根からの騒音を軽減することができます。
5 高い断熱性能 スレートは断熱性能が高いため、屋根からの熱の逃げを防ぎます。これにより、室内の温度調整や省エネ効果が期待できます。
6 メンテナンスの容易さ スレート屋根は比較的メンテナンスが容易です。定期的な点検や清掃が必要ですが、一般的には他の屋根材よりもメンテナンスが少なく済むと言われています。
スレート屋根はこれらの特徴を持つため、多くの人々に選ばれています。しかし、適切な施工や定期的なメンテナンスが必要です。雨漏りの予防としては、適切な施工や隙間の管理、定期的な点検とメンテナンスが重要です。
汚れや苔でも毛細管現象で雨漏りが起こる
塗料以外にも、築年数が経っていると汚れや苔などによっても毛細管現象が起こります。
汚れや苔などが原因による毛細管現象を防ぐためにも、定期的に点検とメンテナンスをおこなうことが大切です。
雨漏りが起きると、建材が濡れてしまい、ひどい場合には腐ってしまうこともあります。雨漏りは原因箇所を特定するのも、修理をするのも大変な作業です。雨漏りが起きてから慌てることがないように、普段からご自宅のケアをしましょう。
雨漏りを防ぐための予防策
雨漏りを予防するためには、以下の予防策を実施することが重要です。
1 適切な屋根材の選択と施工
- 耐久性や耐候性に優れた屋根材を選ぶことが重要です。スレートや金属屋根などが一般的に使用されます。
- 施工は信頼できる専門業者に依頼しましょう。適切な施工によって、隙間や破損部の発生を最小限に抑えることができます。
2 隙間の対策
- 屋根の隙間や接合部にシーリング材を使用してしっかりと密閉します。
- 雨樋や排水管の接合部も確認し、漏れが起きないように注意します。
3 定期的な点検とメンテナンス
- 定期的な点検とメンテナンスを行いましょう。屋根や雨樋の状態を確認し、早期に問題を発見して修理することが重要です。
- 特に雨漏りの多い季節や悪天候後には点検を行うことをおすすめします。
4 雨樋や排水管の清掃
- 雨樋や排水管が詰まると、雨水が途中で溜まりやすくなります。定期的に清掃を行い、スムーズな水の流れを確保しましょう。
5 屋根裏の通気確保
- 屋根裏の通気を良好に保つことで、湿気や結露の発生を抑えることができます。通気口や換気扇を適切に設置し、定期的に清掃して通気を確保しましょう。
6 雨漏り対策の専門業者への相談
- 雨漏りに悩んでいる場合は、専門業者に相談することをおすすめします。適切な対策や修理方法を提案してもらうことで、効果的な予防策を実施できます。
以上の予防策を実施することで、雨漏りのリスクを最小限に押さえることが出来ます。
毛細管現象による雨漏りについてのまとめ
毛細管現象を起こさないためにも、知識と技術のある業者に施工してもらい、施工後もしっかりとメンテナンスを行い対策しましょう。
大切な家の雨漏り修理は、信頼できる業者に任せるのが肝心です。
全国には多くの業者が存在します。信頼もできて金額にもサービスにも納得できる業者を探すのはなかなか大変です。
雨漏り修理の業者探しのことなら、「屋根雨漏りのお医者さん」までお問い合わせください。弊社には雨漏り修理のプロが多く加盟しております。お客様が安心して修理を任せられるプロをすぐにご紹介します。
「雨漏り修理に関する相談をしたい」という方も大歓迎です。お気軽にお問い合わせください
こんにちは
屋根雨漏りのお医者さん栃木県担当の臼井です。
弊社は、雨漏り修理専門のプロ集団で構成された会社です。
私自身は、一級建築士・基幹技能士・一級建築板金技能士など数多くの資格を保有して活動しております。
総合実績11万件以上で皆様の知る建物を数多く修繕してきました。