近年、軽くて耐用年数も高いことから多くの住宅で使われるようになったガルバリウム鋼板の屋根材。
多くはカバー工法などリフォームの際に用いられることが多いですが、最近では新築の家でも使われることが多くなりました。
また、屋根材だけでなく、外壁材としても使用されるようになり注目を集めています。
耐久性が高いこともあり人気を誇っていますが、遮熱性や遮音性、メンテナンスの問題も付いてきます。
この記事では、ガルバリウム鋼板屋根のメリット・デメリット、特徴などを解説していきます。
ガルバリウム鋼板屋根の雨漏り原因
ガルバリウム鋼板の屋根が雨漏りしてしまう原因について解説します。
ガルバリウムの屋根は、耐久性があるとはいえ長年使用し続けていれば経年劣化が発生します。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は30年前後と言われていますが、海岸沿いの潮風が吹く建つ家の屋根に使用されれば、当然寿命もかなり短くなってしまいますし、強風で飛んできた飛来物が屋根にぶつかりキズがつくと、すぐにサビが発生してしまいます。
そうしたことで、錆が発生すると穴が空き、雨漏りのリスクが上がります。
また、経年劣化で棟板金等のビスや釘が緩くなることで隙間が生じ雨漏りに繋がる事もあります。
ガルバリウム鋼板とは何?
ガルバリウム鋼板とは、鋼板(板状にした鉄)に、アルミニウム・亜鉛・シリコンをメッキした建築材のことを言います。
サビに弱い鉄を、アルミニウム・亜鉛でメッキすることで空気に触れることがなくなるため、サビ・酸化に強く、耐用年数が長く持つのです。
・アルミニウム:55%
・亜鉛:43.4%
・シリコン:1.6%
ガルバリウム鋼板はなぜ錆に強い性質なのか?
メッキは先に錆びてくれる性質があるため、鋼板にメッキを施すことによって、大事な鋼板を守ことができ、耐用年数を長く保つことができるのです。
ガルバリウム鋼板以前に使われていた金属屋根として、トタン屋根があります。
トタン屋根は、鋼板を亜鉛だけでメッキしたもので、耐用年数がかなり短いものでした。
そこで、アルミニウムを加えて、アメリカで開発されたのが、ガルバリウム鋼板なのです。
メッキする成分によって名前や寿命が変わるんだね!
ちなみにスズをメッキした鉄がブリキです。
トタン屋根についてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
住宅でガルバリウム鋼板が使用されてる場所
ガルバリウム鋼板は、その優れた耐久性、耐錆性、そして耐候性のために、住宅建築を含む多くの用途で選ばれる素材です。以下に、家庭でのガルバリウム鋼板の使用場所とその利点を詳しく説明します。
- 屋根材としての利用: ガルバリウム鋼板は屋根材として最も一般的に使用されます。この材料は軽量でありながら高い耐久性を持ち、激しい雨、強風、さらには積雪といった様々な気象条件に耐える能力があります。また、熱の反射率が高いため、夏場の屋内温度の上昇を抑える効果も期待できます。屋根としての使用では、メンテナンスの手間が少なくて済むため、長期的にコストを削減することが可能です。
- 外壁材としての利用: ガルバリウム鋼板は外壁材としても非常に効果的です。耐久性と耐錆性を兼ね備えているため、建物の外壁を長期間にわたり保護することができます。外壁として使用する場合、その美観性が求められることも多く、ガルバリウム鋼板は様々な色や仕上げが可能で、建築のデザインに合わせやすいのが特長です。
- 雨樋としての利用: 雨樋にもガルバリウム鋼板がよく使われます。この材料は水や湿気に強いため、雨水を効率的に排水することができるのです。雨樋としての使用においても、ガルバリウム鋼板の長寿命と低メンテナンスが大きな利点となります。
- トリムやサイディングとしての利用: 建物のトリムやサイディングにガルバリウム鋼板を使用することで、デザインのアクセントとしてだけでなく、追加的な保護層として機能します。トリムやサイディングとして使用する際には、細部まで耐候性と耐久性を提供し、建物の全体的な耐久性を高めることができます。
ガルバリウム鋼板のこれらの利用法は、その物理的特性だけでなく、経済的な観点からも多くの建築家や建築業者に選ばれる理由となっています。住宅のみならず、商業施設や産業施設においてもその利用が広がっているのです。
ガルバリウム鋼板のメリット
以前からアルミや、ステンレスの金属屋根は存在していましたが、とても高価なため一般の住宅に使われる事はほとんどありませんでした。
ガルバリウム鋼板が登場したことにより、軽く、錆びにくいという特徴から瞬く間に普及し、今ではよく使われる屋根材になりました。
そんなガルバリウム鋼板のメリットについて解説していきます。
・ 軽量で軽いため耐震性がある
・ 耐久性がある
ガルバリウム鋼板のメリット①軽量で耐震性が高い
1995年に起きた「阪神・淡路大震災」や、2011年に起きた「東日本大震災」を経て、重い瓦屋根の地震に対する弱さが浸透しました。
それによって、軽い屋根材が好まれるようになり、瓦屋根よりも軽量な金属屋根が注目されるようになりました。
ガルバリウム鋼板の屋根の重さは、瓦屋根の約10分の1の重さしかないため非常に軽量で耐震性に優れています。
ガルバリウム鋼板のメリット②ランニングコストが安い
スレート屋根は、初期コストが安く人気ですが、約10年ごとに塗装のメンテナンスを行う必要があります。
ですが、ガルバリウム鋼板の場合メーカー保証として20年、サビや穴あきに対して保証が付いているものも中にはあります。
また、20年は屋根塗装をしなくても大丈夫と言われているようなものもあります。
塗装のメンテナンスを頻繁に行う必要がないという事は、メンテナンスにかかる費用が抑えられるため魅力的ではありますよね!
コストパフォーマンスに優れた屋根材なんだね!
塗装については下記の記事で解説しています↓
ガルバリウム鋼板のデメリット
ガルバリウム鋼板の屋根は、一見良いとこだらけに見えるかも知れませんが、メリットばかりではありません。
金属屋根特有のデメリットも存在しますので、しっかりとガルバリウム鋼板の特徴を知り、屋根材選びの参考にしてください。
・ 衝撃に弱い
・ 初期費用が高い
・ 遮音性、遮熱性が低い
・錆が発生するリスクがある
ガルバリウム鋼板のデメリット①デザインが無機質
これは好みが分かれるので一概にデメリットとは言い難いですが、ガルバリウム鋼板は金属という性質上デザイン性が無機質です。
シンプルでスタイリッシュなデザインの屋根であり、都会や自然の街並みにマッチするデザインではありますが、デザインの種類が豊富な屋根ではありません。
ガルバリウム鋼板のデメリット②初期費用が少し高い
現在、普及しているスレート屋根に比べるとややガルバリウム鋼板の屋根の方が少し高めです。
価格にすると、スレート屋根の約1.2倍くらい費用に違いがでます。
ですが、初期費用だけが高いため、メンテナンスコストを含めた総合で言えば、かかる費用をかなり抑えることができます。
ガルバリウム鋼板のデメリット③凹みやすく錆が発生する
ガルバリウム鋼板などの建材は、わずか0.4mm程度の厚さしかありません。
ですので、台風などの強風で、飛来物が屋根にぶつかると、凹んだり穴が開くことがあります。
自然災害が原因であれば、火災保険が適応できる可能性があるため少しは安心できます。
また、金属屋根ですので海の近くなどでは錆びやすく、定期的に洗い流す作業が必要になります。
ガルバリウム鋼板のデメリット④遮音性・遮熱性が低い
ガルバリウム鋼板は、単なるメッキ鋼板で厚さも薄いため、雨に対する遮音性や太陽の熱による遮熱性はありません。
雨が屋根に打ち付ける音が反響して響くため施工する際に、音を和らげる対策や断熱材と一体になっているものを選ぶ必要があります。
屋根の反響音については下記の記事で解説しています↓
ガルバリウム鋼板の弱点を補う対策
ガルバリウム鋼板には、音を反響する・熱を伝えやすくするなどのデメリットがありますが、断熱材を設置したり、音や熱への対策が取られている製品を使うなどして克服しています。
ここでは以下の4つのデメリットへの対策を紹介します。
・ 遮音に対する対策
・ 遮熱に対する対策
・ 寒さに対する対策
・錆を抑える対策
①ガルバリウム鋼板の遮音対策
ガルバリウム鋼板の遮音対策として、ガルバリウム鋼板と断熱材と一体化させたものや、表面に石粒を吹き付けてある屋根材を使用することで遮音性を高かめているものがあります。
また、ガルバリウム鋼板の下に敷くシートにも、断熱・遮熱・遮音などの効果がある様々なもので対策することができるため、音が気になる方は、業者の方にお伝えしましょう。
②ガルバリウム鋼板の遮熱対策
ガルバリウム鋼板の耐熱対策として、遮熱塗装があります。
塗料を塗ると、独特の光沢を放つ、メッキの結晶による模様ができるため、太陽からの熱反射率は高いと言われています。
ですが、夏の暑さなどが心配という方は、あらかじめ遮熱塗料が塗られている屋根材を選ぶといいでしょう。
③ガルバリウム鋼板の寒さ対策
断熱材がなかったり、充分でない場合には、新たに断熱材を設置する必要があります。
また、屋根の頂上にあたる箇所に換気棟を設置しておけば、湿気も抜けていくので安心です。
④ガルバリウム鋼板のサビ対策
ガルバリウム鋼板のサビ対策として、年に1~2回程度で屋根全体に水をかける必要があります。
特に擦ったりする必要はないので簡単な作業ではありますが屋根は高所のため気をつけて行うようにしましょう。
また、海の近くの家の場合、1~2ヶ月に一回程度を目安に行うのがいいでしょう。
注意点として、水をかける際は、高圧洗浄機は使わないでください。高圧洗浄機を使用してしまうと水圧によって金属の隙間に入り込んでしまい漏水の原因となってしまいます。
ガルバリウム鋼板の劣化症状
ガルバリウム鋼板の劣化症状として以下のような症状が現れます。
・屋根材の浮きや剥がれ
・サビの発生
・色あせ
劣化する原因としては、日々の雨風や紫外線によりダメージが蓄積され表面上に現れることによって劣化します。
ガルバリウム鋼板の修理費用
ガルバリウム鋼板の屋根材の価格は1㎡あたり約2,500円~4,000円位です。
施工にかかる費用は、工事内容により大きく変わるため一概にいくらとは言えないのが現状です。工事費用色々なものが含まれているため、施工業者によっても変わってきます。
主な施行の出し方は以下のような考え方で出します。
「工事費用」=「ガルバリウム鋼板代」+「利益」+「人件費」+「運搬費」+「廃材処分費」+「交通費や駐車場代などの諸経費」など
足場を設置する際は費用が10~20万ほど高くなります。
一般的な大きさの住宅で屋根の葺き替えや、カバー工法を検討している方は、100万円前後を想定しておくのがいいでしょう。
屋根の葺き替え・カバー工法については下記の記事で解説しています↓
ガルバリウム鋼板の葺き方
ガルバリウム鋼板の屋根は、金属ですので雨水が溜まってしまうと錆びやすくなるため、勾配の大き屋根に施工するのが望ましいです。
ガルバリウム鋼板の葺き方は、いくつかありますがメジャーな3つを解説します。
・横葺き
・縦葺き
・瓦調葺き
ガルバリウム鋼板の葺き方①横葺き
ガルバリウム鋼板の横葺きは、屋根材を横向きに葺いていく工法になります。
材料を切り回して使用するため、材料のロスが少なくなり若干費用も抑えることができます。
また、横葺きにすることでつなぎ目が増え、雨漏しやすくなるため、腕のいい職人が必要不可欠な施工方法です。
横葺きは一般的なガルバリウム鋼板の葺き方の一つですが、建物の設計や地域の気象条件に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
ガルバリウム鋼板の葺き方②縦葺き
ガルバリウム鋼板の縦葺きは、屋根材を縦向きに葺いていく工法になります。
屋根材を縦向きに葺いているため、雨水が流れやすく、雨漏りしにくい特徴があります。
ガルバリウム鋼板の葺き方③瓦調葺き
瓦調葺きは、ガルバリウム鋼板の軽さをそのまま残し、瓦のようなデザインの屋根で、パッと見は瓦屋根のように見えます。
瓦調屋根は、和風の雰囲気を残しているため、和風テイストのお宅でよく使用されます。
ガルバリウム鋼板に葺き替える際の業者の選び方
一般的に金属屋根であるガルバリウム鋼板を施工するのは、板金屋さんと呼ばれる業者が行います。
屋根雨漏りのお医者さんでは、所属する95%以上の職人が建築板金のプロであり国家資格を保有していますので、施工の技術力に関して言えば間違いありません。
・重い瓦屋根から軽量のガルバリウム鋼板の屋根に葺き替えたい。
・スレート屋根にカバー後方を用いてガルバリウム鋼板の屋根に変えたい
リフォームや修理をお考えの方や、雨漏りなどで困っているなど、どんなお悩みでも受け付けていますのでご相談ください。
経験豊富なスタッフが分かりやすく説明いたします。
また、調査・見積もりは無料で行っていますのでお気軽にご相談ください。
業者の選び方については下記の記事で解説しています↓
ガルバリウム鋼板についてのまとめ
本記事では、ガルバリウム鋼板のメリット・デメリットを解説しました。
- ガルバリウム鋼板は、鉄鋼にアルミニウムと亜鉛の層をめっきした耐久性の高い建材であり、耐錆性が優れています。
- ガルバリウム鋼板は、屋根材や外壁材として広く使用され、建物の耐候性と耐久性を向上させます。
- この鋼板は、耐久性に優れ、耐候性に対する強力な耐性を持っており、さまざまな気象条件に適しています。
- ガルバリウム鋼板の主要な利点は、その軽量性、耐錆性、維持管理の容易さ、環境への貢献などです。
- 屋根や外壁にガルバリウム鋼板を使用する場合、正しい施工と定期的なメンテナンスが重要であり、長寿命と美観を維持するのに役立ちます。
- ガルバリウム鋼板は、建築業界で一般的な選択肢であり、その高い性能と多用途性により、建築プロジェクトに広く採用されています。
遮音性や、遮熱性といったデメリットはあるものの、それを補える対策もありますので、ぜひ自分の家にあった屋根材選びの参考にしていただければ幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
雨漏り修理の専門家【屋根雨漏りのお医者さん監修】
こんにちは
屋根雨漏りのお医者さん兵庫県担当の柴田です。
弊社は、雨漏り修理専門のプロ集団で構成された会社です。
私自身は、・基幹技能士・一級建築板金技能士など数多くの資格と表彰状を保有して活動しております。
総合実績11万件以上で皆様の知る建物を数多く修繕してきました。
雨漏り修理専門家のコメント
ガルバリウムからの雨漏りは、設置の仕方、維持管理、経年劣化、自然災害などが原因で起こることがあります。
まず、ガルバリウムはしっかりと取り付けられなければなりません。間違った設置方法を使うと、屋根のつなぎ目から雨水が入り込む可能性があります。さらに、適切なメンテナンスが行われなければ、時間と共にガルバリウムが劣化し、雨漏りを引き起こす可能性があります。
また、自然災害はガルバリウムを壊したり変形させたりし、その結果、雨漏りが起こることがあります。
これらの問題を早く見つけて修正するためには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。私たち専門業者が定期的に点検を行うことで、問題を早く見つけ、大きな修理費用や建物へのダメージを防ぐことができます。