室内で雨漏りが起きたら、最初に行うのは雨漏りを「直すこと」ではなく、人の安全を確保して室内被害を広げないことです。
天井から水が落ちている場合はバケツとシートで水を受け、壁や窓から水が入っている場合はタオルなどで床への広がりを防ぎます。
ただし、
- 照明器具やコンセント付近が濡れている
- 分電盤の周囲が濡れている
- 天井が大きく膨らんでいる
- 火花・煙・焦げ臭さがある
- 天井材が落下しそう
という状態では、通常の応急処置より安全確保を優先してください。
雨漏りや浸水で水がかかった家電製品は、内部に水分や異物が残った状態で通電すると火災につながることがあります。NITEも、水がかかった家電製品をそのまま使用しないよう注意喚起しています。
30秒で分かる|室内で雨漏りしたら今すぐすること
| 状況 | 最初にすること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 天井から水が落ちている | シート+バケツで受ける | 天井に穴を開ける |
| 天井が膨らんでいる | 真下から離れる | 棒で押す・穴を開ける |
| 照明から水が出ている | 近づかない | スイッチや照明に触る |
| コンセント付近が濡れている | 使用をやめて近づかない | 濡れたプラグを抜く |
| 壁を水が伝っている | 家具を離し床を養生 | 壁紙を剥がす |
| 窓・サッシから入っている | カーテンを外して吸水 | 原因不明の隙間を塞ぐ |
| 賃貸住宅 | 写真・動画を撮って管理会社へ連絡 | 無断で本格修理を行う |
重要なのは、室内側で見えている水の出口と、建物外部の雨水侵入口は同じ場所とは限らないことです。
そのため、室内側からむやみにコーキングや防水テープで水を止めようとするのではなく、まず被害拡大を防いで原因調査につなげます。
1.雨漏りを発見したら最初に行う6つのこと
① 人やペットを雨漏り箇所から離す
最初に、人やペットを雨漏りしている場所から離してください。
特に天井が、
「膨らんでいる」
「たわんでいる」
「クロスが大きく剥がれている」
という場合は、内部に水がたまっている可能性があります。
雨漏り箇所の真下には立たず、必要であれば椅子などを置いて立ち入りにくくしてください。
② 電気設備が濡れていないか確認する
離れた場所から、
- 天井照明
- ダウンライト
- コンセント
- スイッチ
- 延長コード
- エアコン
- 換気扇
- 分電盤
- 家電製品
の周辺に水が来ていないか確認します。
すでに水がかかっている電気設備には触らないでください。
分電盤自体やその周囲が濡れている場合も、無理にブレーカーを操作しないでください。
③ 床へビニールシートを敷く
雨水が落ちている場所より少し広めに、ビニールシートや開いた大きなゴミ袋を敷きます。
水滴は落下した際に跳ねるため、バケツだけでは床材を十分に守れない場合があります。
フローリングだけでなく、畳、カーペット、家具などもできるだけ水から守ってください。
④ バケツや容器で雨水を受ける
電気の危険がないことを確認できた場合は、雨水の真下へ安定したバケツや容器を置きます。
バケツの中にタオルや雑巾を1枚入れておくと、水跳ねや「ポタポタ」という音を抑えやすくなります。
⑤ 家具・家電・カーテンを移動する
雨漏りの周囲にある、
家具、家電、寝具、衣類、書類、カーテン
などを安全な場所へ移動します。
大型家具など無理に動かせないものは、上部や水が来る側をビニールシートで保護してください。
ただし、すでに電源プラグやコンセントが濡れている場合は触らないでください。
⑥ 写真と動画を撮る
安全を確保できたら、雨漏りしている状態をスマートフォンで記録してください。
業者が到着したときには雨が止まり、雨漏りが再現しないこともあります。
「どこから水が出たか」だけでなく、
部屋全体、水の流れる方向、水量、天井や壁のシミ、膨らみ
が分かるように撮影しておくと、原因を調査する際の重要な手掛かりになります。
2.天井から雨漏りしている場合の応急処置
天井からポタポタ水が落ちている場合は、室内側で無理に雨漏りを止めようとせず、床や家財へ水を広げないことを優先します。
バケツを使った正しい受け方
手順はシンプルです。
- 水が落ちている範囲より広くビニールシートを敷く
- 水滴の真下へ安定したバケツを置く
- バケツの中へタオルや雑巾を1枚入れる
- バケツの水量を定期的に確認する
- 満水になる前に安全な場所で水を捨てる
特に夜間は、暗い室内でバケツにつまずく危険があります。
通路の中央を避け、家族にも設置場所を伝えてください。
バケツがない場合に使える代用品
バケツが自宅にない場合は、
洗面器、大きめのゴミ箱、収納ケース、安定したプラスチック容器
などでも代用できます。
ただし、大きな収納ケースは大量の水を受けられる反面、水がたまるほど重くなります。
「大きい容器なら長時間放置できる」と考えず、自分で安全に持ち運べる量になる前に水を捨ててください。
紙おむつやペットシーツは床の吸水用にする
紙おむつやペットシーツは吸水性があるため、床へ広がった水を吸う用途には利用できます。
しかし、水を吸った紙おむつや吸水材を天井へ貼り付けることはおすすめしません。
水を吸うほど重量が増し、濡れて強度が低下している天井材やクロスへ負担をかけるためです。
床の吸水には使用しても、天井へ貼り付けない。
このルールでサイト全体の説明を統一してください。
3.天井が膨らんでいる場合は触らない
天井クロスや石膏ボードが袋状に膨らんでいる場合、内部に雨水がたまっている可能性があります。
自分で、
「棒で押す」
「カッターで切る」
「穴を開けて水を抜く」
といった処置は行わないでください。
大量の水だけでなく、天井材そのものが落下する可能性があります。
また、天井裏には電気配線や照明設備が設置されていることもあります。
天井が膨らんでいる場合は真下から離れ、専門業者へ相談してください。
4.壁から雨漏りしている場合の応急処置
壁を雨水が伝っている場合は、床や家具へ被害を広げないようにします。
まず壁際にある家具や家電を離し、壁の下から床へかけてビニールシートを敷きます。
流れてくる水はタオルや吸水シートで吸い取り、濡れたものは定期的に交換してください。
ただし、壁紙が濡れていても、自分で壁紙や石膏ボードを剥がさないでください。
壁内部には電気配線などが通っている可能性があります。
さらに重要なのは、室内で水が出ている位置と雨水が建物へ入った場所が一致するとは限らないことです。
屋根や外壁から入った雨水が、下地・梁・柱・断熱材などを伝い、離れた壁から出てくることがあります。
そのため、水が出ている場所だけをコーキングしても根本修理にならない場合があります。
5.窓・サッシから雨漏りしている場合の応急処置
窓まわりから雨水が入ってきた場合は、最初にカーテンやブラインドを安全に取り外します。
次に、窓枠やサッシにたまった水をタオルや吸水シートで吸い取ります。
床へ水が流れる場合は、窓の下へビニールシートを敷いてください。
水の量が多い場合は、タオルだけで対応せず、窓下へ小さな容器を置いて水を受けても構いません。
ただし、原因が分からない状態でサッシ周辺を大量のコーキング材や防水テープで塞ぐのは避けてください。
排水経路まで塞いでしまったり、別の場所へ水が回ったりする可能性があります。
6.照明・コンセント・家電が濡れている場合
雨漏りで特に注意したいのが電気です。
水が、
照明器具、コンセント、スイッチ、延長コード、分電盤、エアコン、家電製品
へ到達している場合は、むやみに触らないでください。
NITEは、雨漏りや浸水などで水がかかった電気製品について、内部に水分や異物が残った状態で通電すると火災につながることがあると注意喚起しています。
一度濡れた家電製品は、表面だけ乾いたように見えてもすぐ使用を再開せず、必要に応じてメーカー・販売店・電気の専門業者へ相談してください。
火花、煙、焦げ臭さなどがある場合は、その場所から離れて安全を確保してください。
7.雨漏りの応急処置でやってはいけないこと
雨の日・雨上がりに屋根へ上らない
一般の方が雨天時や雨上がりに屋根へ上ることはおすすめできません。
濡れた屋根は滑りやすく、転落する危険があります。
厚生労働省も屋根上作業について、墜落防止設備などを含む安全対策を示しています。
「はしごがあるから大丈夫」
「2階の屋根くらいなら大丈夫」
とは考えないでください。
屋根へのブルーシート施工については、専門業者が行う作業として別ページで詳しく解説します。
→ 関連記事:屋根へブルーシートを張る方法と注意点

天井へ穴を開けない
水を抜くために天井へ穴を開ける方法を紹介する情報もありますが、一般の方には推奨しません。
内部の水量、天井材の強度、電気配線の位置を判断できないためです。
原因不明の場所をコーキングしない
水が出ている場所と雨水の入口は同じとは限りません。
出口だけを塞ぐことで、建物内部へ雨水が回る可能性があります。
自分で散水して原因を探さない
「この場所が怪しい」とホースで水をかけて確認する方法も避けてください。
専門業者の散水調査は、建物構造を確認しながら散水する場所・水量・時間・順番を管理して行います。
無計画に水をかけると、被害範囲を広げたり原因を分かりにくくしたりする可能性があります。
紙おむつを天井へ貼らない
紙おむつ・ペットシーツ・吸水材は床で使用し、水を含んで重くなるものを天井や濡れた壁紙へ固定しないでください。
8.業者へ連絡する前に記録しておきたいこと
雨漏りは「雨が降っているときにしか症状が出ない」ことがあります。
そのため、応急処置ができたら次の情報を残してください。
写真
部屋全体が分かる写真と、水滴・シミ・膨らみなどを近くから撮影した写真を残します。
動画
水が落ちる位置、水量、水が流れる方向、音などが分かるように撮影します。
発生日時
「8月13日18時ごろ」など、雨漏りを確認した日時を記録します。
雨の状況
小雨、大雨、台風、強風を伴う雨など、どのような天候だったか記録してください。
雨漏りが始まるタイミング
雨が降り始めてすぐなのか、数時間後なのかも原因を判断する材料になります。
過去の雨漏り
以前にも同じ場所で発生したことがあるか、修理履歴があるかも伝えてください。
9.賃貸住宅・マンションで雨漏りした場合
賃貸住宅
賃貸住宅の場合は、安全確保と応急処置を行ったうえで、原則として管理会社や貸主へ連絡してください。
国土交通省の資料でも、賃貸住宅で修繕が必要になった場合は管理会社等への通知が重要とされています。
連絡する際は、
住所・部屋番号、雨漏りしている部屋、天井・壁・窓のどこから出ているか、現在も水が出ているか、電気設備が濡れているか
を伝えると状況を共有しやすくなります。
管理会社が修理業者を指定している場合もあるため、安全確保を除いて自己判断で大規模な修理を行うのは避けましょう。
分譲マンション
マンションでは、雨漏り原因が自分の部屋だけにあるとは限りません。
屋上、外壁、バルコニー、共用部分などが関係している場合もあるため、まず管理会社や管理組合へ連絡してください。
戸建て住宅
戸建て住宅の場合は、施工会社・ハウスメーカー・保証窓口、または雨漏りの原因調査ができる専門業者へ相談します。
10.室内から雨漏りを「修理する」のではなく原因を特定する
室内に出てきた雨水だけを見ると、
「この天井の真上に穴がある」
「この壁の外側から入っている」
と思うかもしれません。
しかし実際の雨漏りでは、雨水が建物内部を移動することがあります。
たとえば、
屋根の侵入口 → 防水シート → 屋根下地 → 梁 → 断熱材 → 天井
という経路を通って室内まで到達するケースがあります。
そのため、室内側のシミだけを塞いでも雨漏りそのものは直りません。
雨漏り調査では建物の状態に応じて、
目視調査、屋根裏調査、散水調査、赤外線調査、含水状態の確認
などを組み合わせながら、雨水が「どこから入り、どの経路で室内まで来たのか」を確認します。
室内の応急処置=二次被害を防ぐもの。
根本修理=雨水の侵入口と経路を特定して直すもの。
この2つを分けて考えることが重要です。
11.こんな雨漏りは早めに専門業者へ相談してください
次のような状態がある場合は、バケツだけで様子を見続けず原因調査を検討してください。
- 照明・コンセント付近まで濡れている
- 天井が膨らんでいる
- 大雨や台風のたびに発生する
- 同じ場所で雨漏りを繰り返す
- 一度修理したのに再発した
- 複数の部屋にシミがある
- 雨水がどこから入っているのか分からない
- 天井や壁からカビ臭がする
- クロスや天井材が剥がれてきた
応急処置だけで雨漏りが直ったと判断せず、建物内部へ被害が広がる前に原因を確認することが重要です。
雨漏りの室内応急処置についてよくある質問
雨漏りにバケツだけ置けば大丈夫ですか?
バケツの下にもビニールシートを敷くことをおすすめします。
水滴がバケツの中で跳ねたり、バケツがあふれたりした場合に床を守りやすくなります。
バケツの中へタオルを1枚入れると水跳ねも抑えられます。
バケツがない場合は何で代用できますか?
洗面器、ゴミ箱、収納ケースなど、水が漏れず安定して置ける容器で代用できます。
ただし大きな容器へ水をためすぎると持ち運びが難しくなるため、満水になる前に水を捨ててください。
紙おむつやペットシーツは使えますか?
床の吸水には使えます。
ただし、水を吸わせた紙おむつやペットシーツを天井へ貼ることはおすすめしません。
天井が膨らんでいます。穴を開けて水を抜いてもいいですか?
自分で穴を開けないでください。
大量の水や天井材が落下したり、内部の電気配線を傷つけたりする危険があります。
真下から離れて専門業者へ相談してください。
防水テープで室内側から雨漏りを止めてもいいですか?
雨水の侵入口が明確でない場合はおすすめしません。
室内で水が出ている場所と外部の侵入口は一致しないことがあり、水の出口だけを塞ぐと内部へ被害を広げる可能性があります。
雨が止まったら修理しなくても大丈夫ですか?
雨が止まって水が出なくなっても、雨漏りが直ったとは限りません。
雨量、風向き、降雨時間などの条件がそろったときだけ再発する雨漏りもあります。
一度でも室内へ雨水が入った場合は、状況を記録して原因調査を検討してください。
雨漏りした家電は乾けば使えますか?
自己判断ですぐに通電しないでください。
NITEは、雨漏りや浸水で水がかかった家電製品について、内部に残った水分や異物により火災につながる場合があると注意喚起しています。
雨漏りの応急処置が終わったら原因調査へ
室内でできる雨漏りの応急処置は、床・家具・家電・天井・壁などへの被害拡大を抑えるための一時的な対応です。
バケツで雨水を受けても、タオルで水を吸い取っても、雨水が建物へ入ってくる原因そのものは残っています。
屋根雨漏りのお医者さんでは、屋根だけでなく、
外壁、ベランダ、窓・サッシ、天窓、屋上、防水層
など建物全体を確認し、雨水の侵入口と室内までの経路を調査します。
「どこから入っているか分からない」
「修理したのに再発した」
「雨の日だけ天井にシミが出る」
という場合もご相談ください。
まずは雨漏りしている場所の写真や動画を残しておくと、状況確認がスムーズです。
参考資料
本記事の安全に関する説明は、以下の公的機関の情報を参考にしています。
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「浸水した家電製品から発火」
- 厚生労働省「足場の設置が困難な屋根上作業―墜落防止のための安全設備設置の作業標準マニュアル」
- 国土交通省「民間賃貸住宅」「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」



